2015/07/12(日)NHK「老後危機」で気になったこと

 11日放送のNHKスペシャル「老後危機」の中で気になることがあった。毎月1万円を30年間積み立てて得る運用益は毎月3000円余り節約するのと同じという計算だ。ゲストのFPは運用利回りを2パーセントとして計算していた。エクセルのFV関数で計算してみると、30年後の受け取り額は492万7254円で運用益は132万7254円となる。運用益を360カ月で割ると、確かに1カ月当たり3687円節約すれば、運用しなくても同じことになる。

 これ、早とちりしやすいのは、それなら積み立てしなくても節約するだけでいいじゃないかと思ってしまうこと。あくまで毎月1万円の積み立てを利回りゼロパーセントで30年間積み上げた結果との比較であることに注意。今の普通預金はほぼゼロ金利(0.02%)なので、30年間積み立てても利子は1万791円にしかならない(0.025パーセントの定期預金でも1万3496円だ)。番組の結論は銀行預金での積み立てと節約を組み合わせれば、株式投資信託などリスクを取った運用はしなくても同じ、と受け取っても良いだろう。

 気になったのは利回り2パーセントが少し低すぎないかということだ。例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は運用の目標利回りを3.2パーセント( 基本ポートフォリオの考え方)としている。この利回りで毎月1万円積み立てを計算すると、30年後の総額は603万1356円で、運用益は243万1356円となる。これを毎月の節約で達成しようとすると、6754円となる。ただし、株式の割合を高めた昨年度のGPIFの運用益は過去最高の15兆2922億円となり、利回りは12.27パーセントに及んだのだ。もちろん、これが毎年続くわけではないし、赤字の年もあるだろう。だから、こうした積み立ての期待利回りは5パーセント程度にするのが普通だ。

 利回り5パーセントで計算すると、30年後の総額は832万2586円、運用益は472万2586円となり、積み立て分の360万円を大きく超える。この収益を節約で達成しようとすると、毎月1万3118円の節約が必要になる。積み立てを2万円に増やせば、収益も2倍になり、総額は1664万5173円となる。これならば、ボーナス月の加算などによって、よく言われる老後の必要資金3000万円も達成できそうだ。利回りが高くなれば、節約では追いつかなくなる。

 運用利回り2パーセントの根拠が番組の中では示されず、おまけに「バブルで失敗したから投資はこりごり」なんていう意見まで出て、どうも節約の結論ありきだったような印象を受けた。NHKが投資を奨励するわけにはいかないのだろうが、運用の実際は正しく伝えないと、高齢者は銀行預金にため込んだお金を投資で社会に循環させようとはしないだろう。NHKには「じぶん年金」の作り方を教えるような投資教育番組も作ってほしいものだ。

2015/07/05(日)「アリスのままで」

 単語を忘れ、数分前の記憶が抜け、自宅のトイレの場所も分からなくなる。若年性アルツハイマーを描いたこの作品で主演のジュリアン・ムーアはアカデミー主演女優賞を受賞した。初期症状から重症化するまでを演じるムーアの演技は確かに賞に値する見事なものだし、アルツハイマーの進行過程もよく分かるのだが、物語自体には食い足りない思いが残った。アルツハイマーの進行過程だけでなく、プラスαのドラマがほしいと思えてくるのだ。ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」の後半部分だけを見ているような気分になってくるが、「アルジャーノン」の原作にあった人間性への深い考察やドラマティックな悲劇性がこの映画には足りない。本筋に絡めたサイドストーリーがあると、映画に膨らみが出たのではないかと思う。

 主人公のアリスは50歳。ニューヨークのコロンビア大学(リサ・ジェノヴァの原作ではハーバード大学)で言語学を教えている。講演中に「語彙」という単語が出てこないなど言葉を忘れることが多くなり、大学構内をランニング中に自分のいる場所が分からなくなる。不安を感じたアリスは病院で検査を受け、脳にアミロイドβが増えていることから、若年性アルツハイマーと診断される。アリスは「病気が癌なら良かったのに」と夫(アレック・ボールドウィン)に話す。記憶がなくなり、自分が自分でなくなっていくことを自覚するのはつらいことだ。大学を辞め、自宅療養するが、症状は徐々に悪化し、自分の娘を認識できなくなることも出てくる。

 怖いのは若年性アルツハイマーの遺伝子を持つ場合、100パーセント発症すると映画の中で医師が断言すること。アリスの3人の子どもの1人も遺伝子検査で陽性だった。それと学歴の高い人ほど進行が速いと言われること。医師の説明によれば、高い適応能力が補うので症状が表面化しにくいためらしい。つまり症状が表面化した時にはかなり悪化しているので進行が速く感じられるのだろう。

 監督はリチャード・グラッツァーとウォッシュ・ウェストモアランド。グラッツァーはALS(筋萎縮性側索硬化症)で、アカデミー賞授賞式後の今年3月に亡くなった。IMDbによると、監督作品はこの映画のほかに、ゲイを描いた「ハードコア・デイズ」(2001年)など4本ある。

 どうでも良いことだが、主人公アリスの次女リディア役の女優の名前が思い出せず、見ていて焦った。「トワイライト」シリーズの主演女優であることは分かっているのだが、名前が出てこない。頭に浮かんだのはヘイデン・クリステンセン。そんなわけない。それは「スター・ウォーズ エピソード2」のアナキンだ。しばらく考えてクリステン・スチュワートの名前をようやく思い出した(クリステンだけ合ってたわけだ)。だからこの映画で描かれることは他人事ではない。

 そのクリステン・スチュワートは「トワイライト」よりずっと良い演技を見せる。3人姉弟の末っ子で上2人がエリートコースを歩んでいるのに対して、大学には行かず、演劇に打ち込んでいる。将来を心配して大学に行くことを勧めるアリスと対立するが、認知症の進んだアリスの面倒を最終的に見るのはリディアなのだ。映画のラストでアリスが言う言葉はリディアに向けて言ったものだと思う。この母娘の関係をもっと掘り下げると、良かったかもしれない。

2015/07/04(土)SBIカードの魅力ゼロへ

 ポイント探検倶楽部がSBIカードのサービス変更について報じていた。「SBIカード、2015年10月1日から大幅改悪 SBIレギュラーカードの年会費も有料化へ」。SBIカードからニュースリリースも出ているが、これはユーザーにとっては大幅改悪と言うにふさわしい中身だ。年会費が有料化(972円)されるだけでなく、ポイントのキャッシュバック交換率が大幅に悪くなるのだ。

 SBIカードは現在、10000ポイントが現金12000円と交換でき、業界トップクラスと言って良いポイント還元率(1.2%)を誇っている。それがいきなり0.5%に変更になる。しかも0.5%の還元は10000ポイントを交換した場合で、3000ポイントは1000円(還元率0.33%)、5000ポイントは2000円(同0.4%)と業界最低レベルになってしまう。

 水準的な0.5%の還元率に変更するというのならまだ話は分かるが、それを超えてトップクラスからいきなり最低クラスへの変更というのはわけが分からない。カード利用者が減るのは目に見えているにもかかわらず、踏み切らざるを得なくなったということは相当に経営状態が悪いのではないか。

 年間の利用額に応じてボーナスポイントがあるらしいが、それが大したことなかったらこのカードを利用する意味はなくなる。というわけでメインカードとして利用してきたSBIカードの支払いを他のカードに切り替えていこうと思っている。楽天カードやYahoo!JAPAN JCBカード、au WALLETクレジットカードなど還元率1%のカードはたくさんある。

 元々、メジャーなカードではないし、利用者はSBI証券の利用者がメインだろうが、こういうことをやると、SBIホールディングス全体のイメージも悪くなる。住信SBIネット銀行やSBI証券はネット専業銀行・証券会社として規模が大きい方なので、あまり心配はいらないとは思うが、大企業が破綻した例は過去にいくらでもある。預金は1000万円まで保護されるし、証券も信託銀行が保管しているので破綻しても影響はほぼない。しかし、万一のために移行先を用意しておいた方が良いかもしれない。そんなことまで考えてしまう変更内容だった。

 利用者にもかかわらず、僕はリリースを見落としていたが、住信SBIネット銀行がSBIカードを完全子会社化するそうだ(SBIカード株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ)。株式譲渡は今年10月。これに合わせての変更らしい。3月末時点でのカード会員数は8万3000人とのこと。

2015/06/29(月)「国際市場で逢いましょう」

 父の世代の苦難の人生を描いて、韓国で観客動員歴代2位の大ヒットを記録した。監督のユン・ジェギュンは同じく大ヒットした「TSUNAMI ツナミ」の監督で、コメディ映画のキャリアがあることから、単にストレートな感動作ではなく、笑わせて胸を揺さぶる感情の起伏豊かなエンタテインメントに仕上げた。何よりも主人公のドクスを演じるファン・ジョンミンに拍手。韓国マフィアを描いたアクション「新しき世界」で人のいい兄貴分を演じたジョンミンはこの映画でも好感度の高い演技を見せる。

 釜山の国際市場で小さな雑貨店を営む年老いたドクス(ファン・ジョンミン)の回想で映画は始まる。回想の起点は1950年12月、朝鮮戦争時の興南(フンナム)撤収だ。といっても興南がどこにあるのか、知らなかった。地図を見ると、今の北朝鮮東部、咸鏡南道(ハムギョンナムド)にある海に面した地域である。中国軍が攻めてきたため、多数の人々が海岸に押し寄せ、米軍の船に助けを求める。米軍は積んでいた車や武器を捨ててスペースを空け、避難民を受け入れた(ここで1週間に10万人が船で避難したそうだ)。ドクスは幼い妹のマクスンを背負い、船をよじ登るが、後ろから伸びてきた手につかまれてマクスンは海に落ちてしまう。マクスンを追って父親は船を降りる。ドクスに「今からはお前が家長だ。家族を守ってくれ」という言葉を残して。ドクスと母親、弟妹の一家は釜山の叔母を頼り、貧しい生活が始まる。

 映画は韓国の現代史をたどりながら、ドクスが父親の言葉をかたくなに守り、家族の暮らしを支えるために、必死に働き続ける姿を描く。「チョコレート、ギブ・ミー」と米軍の車に駆け寄る子供たちの姿は終戦直後の日本と同じだ(これは後半のベトナムの場面でも描かれる)。1960年代、成長したドクスは親友のダルグ(オ・ダルス)とともに西ドイツの炭鉱に出稼ぎに行く。韓国はこの時代、外貨を稼ぐために国外への出稼ぎを奨励していた。70年代には戦火のベトナムで働く。そして1983年、KBSが制作した離散家族の再会番組が映画のクライマックスとなる。

 行方不明だった家族を捜して再会させる番組はかつて日本でもあったが、韓国の場合、桁違いに不明者の数が多い。恐らく当時の実際の番組も交えているであろうこのシーンは喜びと悲しみの感情が爆発する。「国際市場で逢いましょう」という邦題はドクスが父親と交わした約束を指す。船乗りになる夢をあきらめて、家族に尽くし続けたドクスの姿は動乱の時代と相まって胸を打つ。今は偏屈な老人になっているドクスの生きてきた道のりを描くことで、ユン・ジェギュン監督は父親たちがどんな時代をいきてきたかを若い世代に伝えたかったのだろう。軍事政権時代の実情を伝えないなど細かい部分に瑕疵はあるけれども、強く印象に残る作品だ。

2015/06/26(金)VBSでログイン

 なでしこの「キー送信」に相当するVBS(WSH)のSendKeysを使ってインターネットエクスプローラーで宮崎銀行のネットバンキングに自動ログインするスクリプトを書いてみた。参考にしたのはIEへのキー入力をVBScriptで再現する。 - Qiita。なでしこのインストールが不要なのでこちらの方が手軽だが、クリップボードのデータではなく、直接IDとパスワードを入力しているのでキーロガー対策はない。IEでクリップボードのデータを使おうとすると、警告メッセージが出るから。パソコンにスパイウェアが入ってなければ、心配はありませんが。

'シェルを起動する
Dim wsh
Set wsh = WScript.CreateObject("WScript.Shell")
'IEを起動する
Dim ie 
Set ie = CreateObject("InternetExplorer.Application")
ie.Visible = True
'指定URLを開く
ie.Navigate("https://mib.miyagin.co.jp/MYIK/BankIK?xtr=aulogon01000&NLS=IKP")
Do While ie.Busy = True Or ie.readyState <> 4
Loop
'キー入力する
Wscript.Sleep 1000 
wsh.SendKeys "ID" 'ここにIDを書く
Wscript.Sleep 1000 
wsh.SendKeys "{tab}"
Wscript.Sleep 1000 
wsh.SendKeys " " 'スクリーンキーボードのチェックを外す
Wscript.Sleep 2000 
wsh.SendKeys "{enter}" '警告ダイアログにエンターキーを送る
Wscript.Sleep 1000 
wsh.SendKeys "PASSWORD"  'ここにパスワードを書く
Wscript.Sleep 1000 
wsh.SendKeys "{enter}" 'ログインを実行する

キー送信もSendKeysもパソコンの負荷が高い時などタイミングによっては失敗することがある。だから1秒とか2秒の時間を空けてコマンドを送っているが、それでもダメな時はダメですね。