2008/09/09(火) 個人情報流出の影響

 @niftyのアドレスに少し前から僕の本名を書いた迷惑メールが届くようになった。アドレス自体はネット上にいくらでも書いたページがあるので、迷惑メールが来ても驚かないが、本名と組み合わせてということになると気になる。いったいどこで漏れたのか。だいたい、niftyのアドレスは最近、通販などでも使っていないし、本名と組み合わせてどこかのページに書いたことはない。Googleで調べた限り、ネット上には僕の本名とアドレスを併記したページはなかった。

 考えていて思い当たったのは2005年7月、楽天のショップから3万件以上のアドレスが漏れた事件。僕の情報も漏れ、楽天から「流出した内容は、お客様の住所、氏名、電話番号、メールアドレス、購入商品、生年月日、クレジットカード番号です」とのメールが来た。そして宛先アドレスはniftyのアドレスだった。

 考えてみると、僕はこれを契機に通販などに使っていたアドレスをすべて別のプロバイダに変えたのだった。それで大丈夫かと思っていたが。大丈夫じゃなかった。今ごろになって、迷惑メール業者に広まっているのだろう。niftyのアドレスを変更するか。メーリングリストなどもすべて登録し直さなくてはいけないので、面倒だな。ひどくなったら、真剣に考えよう。

2008/09/07(日)デトロイト・メタル・シティ

 おしゃれなポップス歌手を夢見た青年が悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ(DMC)」のボーカルをさせられるという設定だけを借りて、原作とは違う話になっているらしい。原作がまだ終わっていないためもあるが、漫画の脚色としてこれはうまいと思う。最初の方に出てくる「ノー・ミュージック、ノー・ドリーム」というテーマをきっちりと描いている。芯がしっかりしているのでまとまりも良くなるのだ。主人公が思いを寄せる女(加藤ローサ)に正体を知られないようにあたふたする姿を見て、これ、「スーパーマン」のバリエーションだなと思った。

 出演者の中で良かったのは「フラガール」に続いて松雪泰子で、たばこの火を舌に押しつけてジュッと消し、「あたしゃ、そんなんじゃ濡れねえんだよ」と言うこの女社長の弾け方はおかしいおかしい。しかも色っぽい。映画としてはベストテンには入らないかもしれないが、密かに松雪泰子は助演女優賞候補に決めた。

2008/09/07(日)「ぐるりのこと。」

 「じゃ、口紅つけてよ」のシーンで血の通ったユーモアとリアリティに感心し、その後のどのシーンにも30代の夫婦のリアリティがあふれているのに驚く。橋口亮輔監督は主演の2人にエチュードと呼ぶ即興の芝居を何度もさせたそうで、それが2人の呼吸の良さにつながっているのだろう。口紅のシーンも即興かと思ってしまうが、ちゃんと脚本通りに演じているとのこと。脚本が脚本に見えないのがうまい。子供を亡くした妻が徐々に精神を病んでいくところに1993年から2001年までのさまざまな事件を法廷画家の夫に絡めて描く構成も良い。病んでいるのは妻だけでなく、日本の社会も同じだったのだ。

 前半は2人のシーンを中心に長回しが多いが、後半、妻が健康になっていく過程はカットを短くし、音楽を加えてテンポが良くなる。気分的にうきうきした感じになり、ラストの小さな幸せをほんわかと描くあたりが心地よい。夫は裁判でまたも陰惨な事件に遭遇するが、2人の小さな幸せは変わらないだろう。リリー・フランキーは包容力というと硬くなるが、ほんわかした風情が良く、木村多江もいつもより随分きれいに見えた。

2008/09/07(日) 「ザ・レスラー」に金獅子賞

 なんだ、日本勢、かすりもせずか。「ミッキー・ローク主演“The Wrestler”に金獅子賞」。この作品、コンペ作品の最後に上映されたそうで、主催者側にも予想があったのだろう。ミッキー・ロークは怪物的な容貌の中に悲哀をにじませた「シン・シティ」も良かった。この作品で完全復活とみられているようだ。

 監督がダーレン・アロノフスキーというのもいい。ドラッグの凄まじい幻覚シーンと登場人物たちの悲惨な境遇が鮮烈だった「レクイエム・フォー・ドリーム」で注目したけれど、その後の「ファウンテン 永遠に続く愛」はあまり評判を呼ばなかった。金獅子賞受賞でメジャー監督の仲間入りだろう。「ロボコップ4」の監督もするそうで、どういう映画になるのか楽しみだ。

2008/08/30(土)「20世紀少年」

 ほぼ失敗作。前半、少年時代と1997年を交互に描く部分がまるでダメである。ありえない話にどうリアリティを持たせるかが大事なのに、ここにはプロットはあっても描写はない。筋を追うのに精いっぱい。だからドラマが一向に盛り上がらない。あれほど多数の登場人物の誰一人にも輝きがない。見せ場がない。エモーションがない。ドラマの組み立てが弱いのは描写がないからにほかならない。

 カルトな新興宗教集団「ともだち」の台頭と世界で起きる怪事件、それと主人公ケンヂの少年時代の「よげんの書」との関係をじっくり描くべきだった。特に重要なのは「ともだち」の怖さだったろう。脚本には原作者の浦沢直樹が加わっているが、これも間違いのように思える。やはり本職の脚本家が原作をばっさり省略して再構成してしまえば良かったのだ。最初から原作にひれ伏していてはそれを超える映画ができるはずがない。

 堤幸彦には無理な題材だったのだとつくづく思う。こうした映画、山崎貴の方がふさわしいのではないか。

 ラスト、3000人の中からオーディションで選ばれたというカンナ役・平愛梨のはつらつとした走りのみが第2章へのわずかな希望をつないだ。しかし、基本的には監督変えるべきだろう。今さら無理だろうけど。