2025/09/15(月)「ヒックとドラゴン」ほか(9月第2週のレビュー)
「ヒックとドラゴン」

人間とドラゴンが戦いを続けるバーク島が舞台。バイキングの首長ストイック(ジェラルド・バトラー)を父に持つヒック(メイソン・テムズ)は伝説のドラゴン、ナイト・フューリーと出会う。ヒックはドラゴンにトゥースと名付け、父や友人、仲間たちには内緒で友情を育んでいく。そしてドラゴンと共生する方法がないか模索する。
敵対する相手と戦うより融和を訴えるテーマは真っ当ですし、多数のドラゴンたちが空を飛ぶシーンのVFXにも不備はありません。というか、映画の大きな見どころの一つです。この物語に初めて触れる人には満足できる作品になっているでしょう。アニメの実写化としては成功した作品と言えます。
ただし、元のアニメが十分すぎるほどの傑作(アカデミー長編アニメ映画賞ノミネート。この年受賞したのは「トイ・ストーリー3」でした)だったので、実写にする意味があるのか疑問です。ディズニーもアニメの実写化を多くやってますが、こうした動きの根底にはアニメより実写が上等という意識があるんじゃないですかね。同じ話を見せられて簡単に喜ぶほど、こっちは甘ちゃんじゃないですぜ。
IMDb7.8、メタスコア61点、ロッテントマト76%。
▼観客1人(公開5日目の午後)2時間5分。
「ランド・オブ・バッド」

ストーリー上の新機軸は主人公が現場にいる特殊部隊デルタフォースの兵士ではなく、遠隔地でドローンを操作・監視するオペレーターであることですが、物語の基本プロットはかつての「ランボー 怒りの脱出」(1985年、ジョージ・P・コスマトス監督)や「地獄のヒーロー」(1984年、ジョセフ・ジトー監督)などと同様、東南アジアに行って暴れ回るアクション映画と同じ趣向です。いくら相手がテロリストだからといって、こうした乱暴な行為が許されるわけがありません。
現場の兵士にリアム・へムズワース、ラスベガス・ネリス空軍基地のオペレーターにでっぷり太ったラッセル・クロウ。監督は「アンダーウォーター」(2020年)のウィリアム・ユーバンク。
IMDb6.6、メタスコア57点、ロッテントマト67%。
▼観客6人(公開4日目の午後)1時間53分。
「シャッフル・フライデー」
母と娘の体が入れ替わる「フォーチュン・クッキー」(2003年、マーク・ウォーターズ監督)の22年ぶりの続編。今回は祖母と母、孫とその友だちの体がシャッフルします。前日に「フォーチュン・クッキー」を見たので、主要キャストが再び顔をそろえたこの作品は1日で22年が経過したような感覚でした。そうしたことも作用して僕はまずまず楽しめました。前作ではジェイミー・リー・カーティスとリンジー・ローハンの体が入れ替わりました。カーティスは「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022年)にも出ていましたので、現在の姿になじみがありましたが、前作でブレイクしたリンジー・ローハンは久しぶりに見ました。22年たっても39歳なのがびっくりです。前作出演時は17歳ぐらいだったんですね、
物語は前作同様、相手のことを深く理解できれば、元に戻る趣向。2人が4人になっても、基本は同じです。出演者の中ではローハンの娘役ジュリア・バターズに将来性を感じました。まだ16歳。これから売れるんじゃないですかね。監督は「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」(2020年)のニーシャ・ガナトラ。NGシーンを集めたエンド・クレジットが楽しいです。
なお、「フォーチュン・クッキー」の原作“Frieky Friday”は1976年、ゲイリー・ネルソン監督、ジョディ・フォスター主演で映画化されたのが最初で、「フォーチュン・クッキー」はリメイクです。この原作、よほど人気なのか1995年、2007年、2018年にも映像化されてます。ディズニープラスで「フォーチュン・クッキー」を含む3本が配信されています。
IMDb6.9、メタスコア60点、ロッテントマト74%。
▼観客4人(公開7日目の午後)1時間52分。
「ブラック・ショーマン」

監督は「コンフィデンスマンJP」シリーズ(2019~2022年)や「イチケイのカラス」(2023年)の田中亮。
▼観客多数(公開初日の午前)2時間7分。