2014/12/27(土)「サカサマのパテマ」

 重力が逆の世界というのなら珍しくないが、抱きしめていないと、人が空に落ちてしまうという光景は目新しい。ただし、重力が人によって選択的に作用する合理的な説明がない。それをどう評価するかが分かれ目。単なるファンタジーならそれでいいか。

2014/12/23(火)「アバウト・タイム 愛おしい時間について」

 「ラブ・アクチュアリー」のリチャード・カーティス監督作品。タイムトラベルの能力を持つ主人公を描くハートウォーミングなコメディだ。SFのアイデアを突き詰めているわけではなく、何度でもやり直せる人生の否定と、一度きりの愛おしい時間、日々を大切に生きることの重要さを訴えるドラマを用意している。アイデアよりもユーモアをちりばめたセリフのうまさに感心させられた。俳優の演技も含めて好感度の高い映画である。

 主人公のティム(ドーナル・グリーソン)は21歳の誕生日に父親(ビル・ナイ)から「うちの家系の男には代々、タイムトラベルの能力が備わっている」と聞かされる。その方法は暗い所で両手を握りしめ、過去のある場面を思い浮かべるだけ。最初は疑ったティムだったが、あっけなくタイムトラベルできてしまう。

 ロンドンの法律事務所に勤めるようになったティムはある日、ブラインデデートでメアリー(レイチェル・マクアダムス)と出会い、意気投合して携帯の電話番号も教えてもらう。下宿に帰ると、主人で舞台演出家のハリー(トム・ホランダー)が意気消沈していた。主演俳優がセリフを忘れて舞台が台無しになってしまったのだ。ティムは過去に戻って俳優を助ける。しかし、ブラインドデートに参加できなかったため、メアリーの電話番号が消えてしまっていた。

 ティムがタイムトラベル能力を使って、恋を成就させるのは予想通りの展開。この映画が良いのはさらにその先、結婚と子供の誕生、妹の不幸などのエピソードを描き、人生の愛おしさについて語っていることだ。リチャード・カーティスの感心がSFにあるはずはないから、これは当然の展開だろう。主人公は何度でも同じことを繰り返し、自分の思う通りの結果を手に入れられるが、タイムトラベルにはある制限があり、重要な選択を迫られることになる。そして主人公自身、繰り返すことの意味を再考するようになる。

 見終わってハッピーな気分になる映画。タイトル通り、この映画を見ている間も愛おしい時間だ。

2014/12/20(土)メンバーズオンデマンドをTVに出力

 以前、スマホとパソコンのディスプレイをMHLケーブルでつなぎ、WOWOWのメンバーズオンデマンドをディスプレイに出力しようとしたら、できなかった。「外部出力はできません」とのメッセージが出た。パソコンの場合はディスプレイの切り替えができるので、もしかしたらと思ってSurface Pro2とテレビをつないでみた。あっけなくできた。

 Surface Pro2には外部出力用にMini Diaplay Portがあるので、テレビとの接続にはMacLab. Thunderbolt ( Mini DisplayPort ) - HDMI 変換 ケーブル 3m 1080p - ビデオ、オーディオ、マルチディスプレイ、ミラーリングモード対応(amazon)を使用した。Mac用だが、問題なく利用できる。念のために、パソコンの「画面の解像度」から設定を変更し、テレビにだけ出力する設定にした後にメンバーズオンデマンドのページを開いたが、「画面の複製」でもいいようだ。

 画面の遅延はほとんどない。あっても10分の1秒ぐらいか。画面と音のずれは感じられないので、テレビ画面だけを見ていれば、気にならないレベルだ。メンバーズオンデマンドは元々、SD画質だし、回線速度によって表示がぶれることがある。大画面のテレビではそれが目立ってしまうが、無料だからいいでしょう。

 当然のことながら、Google Playの映画も表示できる(WOWOWより画質がきれいだ)。有線ケーブルでいちいちつなぐのは面倒だが、一時はm-Stickなどの小さなパソコンの購入を考えていたので、それを考えれば、安い出費だった。最近はビデオレンタル店に行くのも面倒なので、自宅からamazonインスタントビデオやGoogle Playを利用することが多い。これでますます店でのレンタルは少なくなりそうだ。

 で、今ふと思ったのだが、スマホとディスプレイをつないだ時にはメンバーズオンデマンドのアプリを利用したのだった。ブラウザからならあっさり外部出力できるのかもしれない。MHLよりはHDMIの方が転送速度が速いので、HDMIの方が快適ではないかと思いますが。と思ったが、どうもスマホやタブレットからはアプリじゃないと、視聴できないようだ。

2014/12/07(日)「ショート・ターム」

 「実名レビュー評価サイトRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)で満足度99%、2013年No. 1の実績を記録」と、映画のパンフレットや公式サイト、キネ旬の記事にまで書いてある。ロッテン・トマトをよく利用している人には説明するまでもないが、99%は満足度ではない。肯定的な評価をしたレビュワーの割合だ。そうしたレビュワーの採点を平均すると8.4で、これは2013年の映画では「ゼロ・グラビティ」「それでも夜は明ける」「ビフォア・ミッドナイト」に次いで4番目となる。高く評価されたことは事実だが、ナンバーワンではない。間違った認識に基づくPRの仕方は少し気になった。

 ショート・ターム12は18歳以下の少年少女のための短期保護施設。親からの虐待など家庭に事情がある子供たちのシェルターの役割を果たしている。ここにある日、ジェイデン(ケイトリン・デヴァー)という少女がやって来る。「父がすぐに迎えに来る」と言って周囲になじもうとしないジェイデンだが、ケアマネージャーのグレイス(ブリー・ラーソン)はジェイデンが創作したタコとサメの物語を読んで、ジェイデンが父親から虐待を受けていることに気づく。グレイスは施設で一緒に働くメイソン(ジョン・ギャラガーJr)と同棲しており、妊娠していることが分かるが、メイソンには内緒で病院に中絶の予約をしてしまう。グレイスが妊娠するのは二度目だった。

 施設の子供たちが描かれるのかと思ったら、グレイスの話がメインになっていく。グレイスもまた施設の子供たちと同じような過去を持っていたのだ。グレイスは自傷行為によって傷だらけになった足首をジェイデンに見せ、「血が流れている間はいやなことを忘れていられる」と話す。「くしゃみをして足の腱を切りそうになってしまったの」。グレイスにとってジェイデンを助けることは自分を助けることでもあるのだろう。

 児童虐待が許せないのは子供にとって逃げ場がないからだ。本来は守ってくれるはずの家庭が地獄のような状態になってしまった子供の境遇は想像を絶する。友達になる代わりにタコの足をすべて食べてしまうサメの物語、ジェイデンが考えた物語はこうした状態を悲痛に表現している。

 主演のブリー・ラーソンがいいし、良い映画なのだが、どうも食い足りない思いが残るのは1時間37分という上映時間のためではなく、問題への切り込み方、深化のさせ方が今一つ足りないからだろう。もっと話に奥行きがほしいところだ。監督・脚本のデスティン・ダニエル・クレットンはこれが2作目。この映画はグループホームで働いた経験を基にしたという。

2014/12/01(月)エコキュート

 「エコキュートに切り替えませんか。毎月のガス代、灯油代の支払い分で導入できますよ」。九電工の人がセールスに来たそうだ。オール電化住宅にしませんか、というわけである。家を建てて17年。灯油ボイラーとガスレンジも耐用年数に近づいて(越えて?)きたところだったので、家内が見積もりをしてもらう日のセッティングをした。僕と2人で話を聞いた。

 わが家の光熱費を計算してみたところ、平均月額は電気12,428円、ガス4,767円、灯油2,700円の計19,895円だった。ご飯は土鍋を使い、ガスで炊いている。エコキュート(3-5人家族用、約65万円→48万7000円に値引き)とIHクッキングヒーター(約30万円→21万円に値引き)の見積もり結果は工事費(22万円もする)と消費税込みで99万3,600円だった。これを10年で支払った場合、月々の支払いは9,663円。15年の場合は6,933円だそうだ。ガスと灯油の平均月額は計7,467円なので、15年払いにすると、確かにその分で支払える。しかし、ガスと灯油で使っていた分の電気代は増えるので、高くなりそうな気がする。セールストークを鵜呑みにしてはいけない。

気になったので利子を計算してみたら、以下のようになった。

見積もり価格99万3,600円
15年払い 月額6,933円×12カ月×15年=1,24万7,940円(利子25万4,340円、25.59%)
10年払い 月額9,663円×12カ月×10年=1,15万9,560円(利子16万5,960円、16.70%)

 15年払いだと、25万円、25%以上も利子を取られるのが納得いかない。利子はもらうものであって、支払うものではない、という僕の方針に反する。だいたい、こういう「○○の支払い分で購入できる」という導入セールス、気をつけた方がいい。以前、よく電話がかかってきた投資用マンションのセールスと同じやり方だ。マンションと違うのは耐用年数を考えると、ボイラーもレンジも買い換える時期に来ていること。というわけで現地調査の日が決まった。

 空気の温度差を利用してコンプレッサーでお湯をわかすエコキュートについては以前、ちょっと調べたことがあって、その時は「どう考えても、熱の発生に費用がかかる以上、太陽光発電には負ける」という結論を出した。それでも導入に前向きになったのは今使っている太陽熱温水器との併用ができるということと、エコキュートの電気代が月額1000円程度と聞いたからだ。調べた時は太陽熱温水器は併用できないというケースがほとんどだった。九電工によると、蛇口を別に設置して風呂の給湯には使えるようにするという。それならば、特に夏場の電気代はやや抑えることができるだろう。

 具体的に計算してみる。電化DEナイトを導入すると、午後10時から午前8時までの電気料金は10.901円/kwh(燃料調整費、再エネ賦課金、太陽光発電促進付加金を加算)、午後5時-午後10時と午前8時-午前10時は23.421円/kwh。デイタイムは30.961円/kwh(通常期)、36.711円/kwh(夏季=7-9月)となる。朝夕に電気炊飯器(1200W)でご飯をたいた場合、

朝 1.2kw×10.901円×1時間×30日=392.436円
夕 1.2kW×23.421円×1時間×30日=843.156円

 購入予定のIHは最大3KW。ずーっと強火で調理するわけではないので、平均出力を2.5kw、使用時間を朝30分、夕方1時間としてそれぞれ2口使うと、

朝 2.5kw×2×10.901円×0.5時間×30日=817.575円
夕 2.5kw×2×23.421円×1時間×30日=3513.15円

炊飯器と合わせると、計5566.317円となる。これにエコキュートの電気代1000円を足すと、6,566円程度。ガスと灯油の今より900円ほど安くなる。年間10,812円のコスト削減。

 僕は寝るのがいつも午前2時半ごろなので、深夜電力が今の半分以下になる電化DEナイトの導入効果はそれなりにあるだろう。コスト削減の試算通りなら投資の回収には100年かかるが、深夜の電気料金とボイラーとレンジの購入費用を考えると、少ないながらも投資効果はあり、と判断した。現地調査で工事費用が跳ね上がらない限り、導入することになるだろう。支払いは一括にするつもりだ。