2004/11/12(金)志水辰夫の随想〈特別版〉

「ミステリマガジン」12月号の「隔離戦線」に、池上冬樹が「裂けて海峡」のラスト改変問題について書いている。新潮文庫版のラストの1行(というか最後の言葉)のみ変えたそうなのだが、それに読者が抗議して、作者が自分のホームページで釈明しているとのこと。で、見てみた。体言止めをやめて普通の文章にしただけだが、確かに印象的なラストだったから、ファンの気持ちも分からないではない。僕がこれを読んだのはもう随分前だが、それでもこのラストの言葉は覚えていた。

で、この釈明文章の下に2つの映画の感想がある。「美しい夏キリシマ」と「ラスト・サムライ」。さらにその下には「映画のこと」というエッセイもある。シミタツは映画ファンだったのか。

どんな映画ファンなのか、ちょっと引用しておく。

 「明かりのついた部屋でお茶を飲みながら、菓子をつまみながら、ときにはかみさんの相手をしながら見るのでは、感情移入のしようがないではないか。映画は絶対に映画館で見るべきものなのだ」
 「スクリーンは夢のつづきであってもらいたいし、またそういう夢を見させてくれるものでありつづけてもらいたいのだ」
 「いまの自分が若いとき見た映画からどれだけ多くのものを授かっているか、映画というものがなかったらいまのわたしはなかったといってけっして過言ではないのである」