2013/08/04(日)「骨の祭壇」

 世評通りの圧倒的なページターナーではある。特に上巻はページを繰る手が止められない面白さ。下巻はややトーンダウンするものの、一気読みの本であることは間違いない。

 なのに読後感はイマイチ。その要因をつらつら考えてみると、凄腕の悪人たちがやけにあっけなく退場してしまうことが影響しているようだ。ポニーテールの男しかり、美貌と狂気の殺し屋ヤスミン・プールしかり。黒幕の一人である大富豪や元KGB高官、ロシアン・マフィアのボスもまた、あれ、これで終わり、と思えるほどあっけない。これでは主人公2人が都合良く危機を乗り越えていく印象しか残らず、ご都合主義的展開に思えてくるのも仕方がない。

 アクションで話をつなぐだけで深みに欠ける、悪い時の007映画と同じ程度の面白さと思った方がいい。そういう映画が好きな人には超おすすめのエンタテインメント。