2013/03/31(日)「ひまわりと子犬の7日間」

 実際に犬の殺処分の様子を見たことがあるが、炭酸ガスで殺される犬たちは容易にアウシュビッツを思い起こさせる。宮崎県内だけで年間4000頭の犬がそういう殺し方で処分されているのに、その中の一家族の母犬と子犬だけを助けることに何の意味があるのか。映画はそこにまったく触れていかない。問題意識の低さと甘さが露呈している。

 堺雅人の涙を見て、元の飼い主の涙を思い出すという犬の擬人化にも大いに疑問がある。新人監督がまじめに一生懸命に撮った映画だが、この程度の出来を褒めることは褒め殺しにつながりかねない。原作がどうあれ、脚本を徹底的に練り上げるべきだっただろう。話の膨らませ方が足りないのだ。1時間のテレビドラマですむような内容を映画にすることはない。平松恵美子監督、くれぐれも注意して2作目に取り組んでほしいと思う。