2006/07/13(木)「そして、ひと粒のひかり」

 傑作だと思う。コロンビアの花農園で働く17歳の少女が仕事をやめ麻薬の運び屋になる。ゴムの袋に入れた麻薬を飲み込んでアメリカに運ぶ仕事。

 話にはよく聞くし、漫画などでも目にしたことはあるが、ここまで詳しい描写は知らなかった。大粒のブドウで飲み込む練習をするのがリアル。体内で袋が破れたら死ぬことになる。主人公は60粒あまりを飲んで飛行機に乗る。4人の運び屋のうち、1人は空港でレントゲン検査によって警察に捕まる。主人公もレントゲン検査をされそうになるが、望まない妊娠をしていたために検査を免れる。そして一人の袋が破れて具合が悪くなる。

 主演のカタリーナ・サンドリノ・モレノはアカデミー主演女優賞ノミネート。確かに魅力的な好演をしているが、これは題材のショッキングさも手伝ってのノミネートなのだろう。監督のジョシュア・マーストンはこれが2作目らしい。といっても1作目は短編(評価ガタガタ)。コロンビアの絶望的な状況と、少女の成長を描いてほぼ完璧な仕上がりになった。ひと粒のひかりを希望に再生の決意を固める主人公がいい。