2006/06/01(木)「ナイロビの蜂」

 レイチェル・ワイズとレイフ・ファインズがしみじみと良い。ファインズがイギリスに帰り、妻のいない寒々とした自宅で泣き崩れるシーンなどは胸が詰まる。最愛の者を亡くした男の喪失感がよく出ていた。

 だが、あのとんでもない傑作「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス監督作品としては物足りない。「シティ・オブ・ゴッド」は編集とカット割りに驚嘆させられたが、今回は技術的におっと思わせるシーンはなかった。オーソドックスな演出なのである。好みから言えば、主人公には復讐の鬼と化して欲しかったところ。それがそうならないのはジョン・ル・カレ原作だからだろう。