2005/05/03(火)「SAW」

 いやあ、面白い。B級映画だろうと思って見始めたら、ぐいぐい引き込まれ、ラストで驚かされた。こういう犯人だったのか。まるで見当がつきませんでしたね。血なまぐさい部分があるので、万人向けではないだろうが、アイデアを詰め込んだ脚本の緻密さには感心。きっちり作ってあるミステリだと思う。

 薄汚いバスルームで鎖につながれた2人の男。真ん中に自殺死体。閉じこめた犯人は2人にノコギリを与える。目の前の男を殺さなければ、家族を殺す、と片方の男は言われる。予告編ではこのシチュエーションだけが描かれていた。本編を見ると、サイコキラーとそれを追う刑事(ダニー・グローバー)の話が絡んでくる。そのサイコキラーが2人を閉じこめたわけだ。

 これほど知能的な犯罪を繰り返すには犯人像に少し無理がある(シチュエーションにもある)のだが、小さな傷と言うべき。ジェームズ・ワン監督と脚本・出演を兼ねたリー・ワネルが考えたストーリーは最近のミステリ映画の中では出色の出来だと思う。中盤で犯人と思われる人物が出てきたあたりで、後は普通のサスペンスになるのかと思ったら、ラストで意外な人物が登場して観客に“最後の一撃”を与える。出し方もアンフェアではない。謎とサスペンスとスリラーが絶妙のブレンドで、昨年見ていたら、ベストテンに入れていただろう。

 ワンとワネルは2006年公開を目指して「Silence」という作品を準備中とのこと。どういう映画になるのか楽しみだ。