2005/06/14(火)「最後の恋のはじめ方」

 「最後の恋のはじめ方」パンフレットニューヨークを舞台にウィル・スミスがデート・コンサルタントを演じるロマンティック・コメディ。冗長と思える部分もあるが、ノリのいい音楽とともに2つの恋模様を軽くユーモラスに描いて、まず退屈しない映画になった。ウィル・スミスはアクが強くないので、こういうサポートの役柄も似合っており、「アイ,ロボット」に続いて絶好調という感じがある。ダンスを教える場面やホタテ貝アレルギーで顔が腫れるシーンには爆笑した。監督は「アンナと王様」「メラニーは行く!」のアンディ・テナント。この監督の作品、そんなに見ていないが、この映画は出来のいい方の部類に入るのではないか。スミスの相手役エヴァ・メンデスも色っぽくて良い。

 スミスが演じるデート・コンサルタントのヒッチはもてない男のサポートが仕事。セックスだけが目的の依頼は断るという主義を持っている。依頼してきたアルバート(ケヴィン・ジェームス)は太ってドジでさえない男。恋しているのはマスコミも注目する財団の令嬢アレグラ(アンバー・バレッタ)で、まるで釣り合いが取れそうにない。「まず彼女の注意を惹くこと」というアドバイスを受けたアルバートは会議でアレグラに同調し、なんとか2人で会う約束を取り付ける。ヒッチ自身もバーで男から言い寄られている新聞記者のサラ(エヴァ・メンデス)と出会い、恋に発展していく。しかし、ヒッチがデート・コンサルタントと知ったサラは卑劣な職業と誤解し、けんか別れしてしまう。

 他愛ない話といえばそうなのだが、脚本は恋に関する教訓をいろいろ入れていて面白い。「人間の意思伝達の60%は言葉でなくボディ・ランゲージ。30%は声の調子。つまり90%の“会話”は言葉じゃない」という指摘には納得。脚本を書いたケヴィン・ビッシュはこれがデビュー作で、次作もコメディらしい。アルバート役のケヴィン・ジェームスはテレビ中心のコメディアンで、映画での大役はこれが初めてとのこと。笑いの取り方も下品ではないし、観客を引きつけるエピソードになったのはジェームスのキャラクターが大きいと思う。アンディ・テナントの演出にはこれといって優れた部分も見あたらず、こうした材料を交通整理しただけのように思える。ただ、気持ちのよい終わり方を含めて全体的に好感の持てる作品に仕上げた腕は認めるべきか。

 ヒッチがアルバートにダンスを指導する場面の音楽(アッシャーの「Yeah!」)が良かったが、サントラには収録されていなかった。エンドクレジット前にあるおまけのダンスシーンが楽しく、もっと見たい気にさせる。ウィル・スミスもエヴァ・メンデスもダンスがうまい。