2005/08/19(金)「宇宙戦争」

 1953年製作版のDVDが届いた(DVDのジャケットには1952年とある。どちらが正しいのか)。楽天のショップで1,197円。字幕版だけで日本語吹き替え版は入っていない。小学生のころだったか、テレビの吹き替え版で見て以来の再見だが、上映時間が85分と短いとは知らなかった。当時はこれぐらいの長さで十分だったのだろう。

 結末はスピルバーグ版と同じなのに納得できるのはその前に都市の徹底的な破壊シーンがあり、群衆が暴徒化するシーンがあるからか。原爆を使っても撃退できない相手では奇跡でも起きないと、どうしようもないという気分になるのだ。映像は当時としては画期的だっただろう。これと「禁断の惑星」(1956年)が50年代SF映画の白眉だと思う。もちろん、物語は「禁断…」の方がよりSFらしい。

 原爆を使うシーンには例の翼だけの飛行機が登場する(全翼機と呼ぶそうだ)。Northrop YB-49という実在の飛行機。30年近く前、小野耕世がキネマ旬報で「宇宙戦争」に絡めてこの飛行機のことを紹介していて、興味深く読んだものである。この原爆シーンで主人公の科学者(ジーン・バリー)と軍の兵士たちは爆風をもろに浴びる。原爆実験に参加するアトミック・ソルジャーがいた時代だから、こういう描写も仕方ないかと思う。

 もし、原爆で効果があったにしても、世界中に下りた宇宙船を破壊するには相当数の原爆攻撃が必要だろう。いずれにしても地球は破滅することになる。火星人は殲滅できたが、地球もまた終末の時を迎える。そういう風な映画もありかなと思う。