2005/11/25(金)「仄暗い水の底から」

 タイムリーに放映してくれた。「ダーク・ウォーター」と比べてみると、こちらの方がやはり怖い。単に子供が赤いバッグを持っているだけで、どうしてあんなに不気味な演出ができるのか。中田秀夫はやはり恐怖の演出、不気味さの演出ではうまい。これを見ると、たかが子供の霊だから怖くないとは言えなくなる。たたみかけるようなクライマックス、あの緑色の手が首に巻き付く演出などは大したものだと思う。黒木瞳の神経症的な演技も悪くない。

 僕はこの映画、全然見ていないと思っていたが、ラストシーンだけは覚えていた。いや、ラストシーンだけ見ていたのを思い出した。ここは怖さと母娘の愛情が絶妙にブレンドした場面で、「ダーク・ウォーター」のそれより優れている。

 ウォルター・サレスはホラーの演出が苦手だったのだろうなと思う。俳優の演技とか、映画の丁寧さとか、映画の格とかすべて勝っているのに、怖さと面白さでは中田版に負けてしまった。クライマックスを分かりやすく変えたのも敗因なのだろう。