2006/01/13(金) 「99%の誘拐」がヒント

 新聞記事にあった(最初に書いたのは毎日か)。仙台市の乳児連れ去り事件で犯人がヒントにしたのは岡嶋二人のこのミステリではないかという。身代金受け渡しの際に院長を電車や車でいろいろと引き回すのも似ている。この記事、犯人の供述に基づいたものではなく、単なる憶測だが、ありそうな話ではある。

 原作では発煙筒をたいて、一軒家から男の子を誘拐する。犯人はそれを病院に置き換えたわけだ。この事件の身代金受け渡しの経緯は、ここだけ、本格的な計画的犯行という感じがしたのは小説を参考にしたためなのか。犯人、小説の場面を宮城県のロケーションに必死に置き換えたのだろう。最後はどうやって受け取るつもりだったのだろう。そこが気になる。原作では犯行にコンピュータが駆使されているが、今回の事件ではそれはなかった。ああいうシステムを作る力が犯人にはなかったのだから当然か。

 ま、小説を実際の事件に使った例として有名なのはグリコ・森永事件があるから、こういうことは常に起きうることなのかもしれない。「この文庫がすごい!」で1位になって、売れている小説を犯行に使うとは、犯人、分かりやすいやつだな。