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別に傑作ではないのだが、60年代の学生運動の雰囲気は伝わってくる(映画の公開は1970年)。ノンポリのボート部の学生サイモン(ブルース・デイヴィソン)が何となく学生運動にかかわる。きれいな女子学生リンダ(キム・ダービー)に惹かれたせいもあるが、そのうちに大学の姿勢に怒りを感じて、本気でかかわるようになる。クライマックス、大学を占拠した学生たちを州兵が催涙ガスをまきながら強制排除するシーンは有名。
監督のスチュアート・ハグマンは「スパイ大作戦」などテレビの作品が多い。ジョニ・ミッチェルが歌う主題歌「サークル・ゲーム」はラジオでよく流れていたので懐かしかった。。
レイチェル・ワイズとレイフ・ファインズがしみじみと良い。ファインズがイギリスに帰り、妻のいない寒々とした自宅で泣き崩れるシーンなどは胸が詰まる。最愛の者を亡くした男の喪失感がよく出ていた。
だが、あのとんでもない傑作「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス監督作品としては物足りない。「シティ・オブ・ゴッド」は編集とカット割りに驚嘆させられたが、今回は技術的におっと思わせるシーンはなかった。オーソドックスな演出なのである。好みから言えば、主人公には復讐の鬼と化して欲しかったところ。それがそうならないのはジョン・ル・カレ原作だからだろう。