2006/11/23(木)「ホテル・ルワンダ」
「白バラの祈り」は主人公のまっすぐな姿勢に感銘を受けたが、この映画の主人公は生き残るために賄賂でもなんでも行う。それが地獄のような状況を強烈に浮かび上がらせている。僕がルワンダの虐殺を知ったのはビクトリア湖に流れ込んだ4万人の死体が報道されたころだが、ちょうどそのころ主人公は必死に生きる道を探していたのだろう。
映画の中でジャーナリストの一人が言う。フツ族によるツチ族の虐殺場面がテレビで報道されても「人々は“怖いね”と言って、またディナーを続けるのさ」。西側諸国が一番ひどい状況の中でルワンダを見捨てたのは許せない。許せないけれども、報道を見たり読んだりしていた僕らも何もしていなかったのだ。その意味で西側諸国の対応を批判しつつ観客をも批判する映画と言える。
少なくとも製作者たちは次に同じような事態が世界のどこかで起こった時に、観客に何らかのアクションを起こすことを求めているだろう。ユニセフの毎月の募金を始めなくちゃという気になる。
監督のテリー・ジョージは「父の祈りを」は良かったが、「ジャスティス」には感心しなかった。この人、ジャーナリスティックな素材が向いているのかもしれない。