2011/04/11(月)「パラサイト・バイティング 食人草」

 「シンプル・プラン」のスコット・スミス原作「ルインズ」を映画化したもの。原作は3年ほど前に買ったまま読んでいない。どういう話かも知らなかったが、読まなくてもいいか、と思える出来。ローラ・ラムジーは良い。カーター・スミス監督。2008年。劇場未公開。

2011/04/11(月)「アンボーン 悪霊祓い」

 不気味な少年につきまとわれるヒロインの恐怖を描く。ちょっとジェニファー・コネリー似のオデット・ユーストマンを眺めている分には腹は立たない。ユーストマンはテレビ俳優のデイブ・アナベルと結婚したのでオデット・アナベルとクレジットされることもある。「ダークシティ」などの脚本家デヴィッド・S・ゴイヤー監督。2009年。劇場未公開。

2011/04/11(月)「彼岸島」

 吸血鬼に支配された島でのサバイバルアクション。松本光司の原作コミックはあまり評判が良くないらしい。映画は血みどろアクション映画としてみれば、そんなに悪くはない。キム・テギュン監督。水川あさみは良い。

2011/02/11(金)「GANTZ」

足を切断し、肉を切り裂き、頭を握りつぶし踏みつぶし、体が破裂する。ニノとマツケンを目当てに見に来た若い女性客を跳ね返すように、佐藤信介監督は序盤のネギ星人との戦いに血みどろの場面を繰り広げる。この次のいかにもロボットのような田中星人との戦いも重厚な迫力とスピード感たっぷり。VFXは普通の出来なのだが、この映画、描写に力がこもってる。田中星人というふざけたネーミングと外見にもかかわらず、この面白さは大したものだ。

 GANTZとはいったい何なのか、星人たちはなぜ人間を襲うのかなどまったく説明されないけれど、映画には主人公が自分の力と使命を自覚していく(ヒーローとして覚醒していく)という1本の筋が通っており、十分に面白かった。就職が決まらない大学生が自分の居場所を見つける話、と比喩的に受け取ってもかまわないだろう。佐藤監督作品としては釈由美子の悲痛な叫びが胸に残ったあの傑作「修羅雪姫」(2001年)につながる作品と言える。序盤のテンポをもう少し速くすれば、胸を張って傑作と太鼓判を押していたところだ。4月公開のパート2にも大いに期待する。

 ここまで書いたところで30巻まで出ている原作の3巻までを読んだ。ネギ星人の場面は微妙に細部が異なるが、ほぼ原作を踏襲している。玄野計(くろのけい=二宮和也)と加藤勝(松山ケンイチ)は地下鉄のホームから落ちた酔っ払いを助けようとして電車にはねられる。気づくと、2人はマンションの一室にいた。そこにはガンツと呼ばれる黒い球体と同じように送り込まれたらしい数人の姿があった。部屋にいるのはいずれも一度死んだ人間だった。GANTZはネギ星人を倒すように指令を出し、玄野たちはネギ星人のいる街に送り込まれる。「ネギあげます」と震える子供のネギ星人を銃(撃った後、間をおいて相手を爆発させる)で惨殺したところで親の凶暴なネギ星人(フランケンシュタインみたいな外見だ)が現れるのがいかにもな展開。ここで送り込まれた数人が殺されるスプラッターなシーンとなる。辛くもネギ星人を倒した玄野たちは気づくと、自分の部屋にいた。しかし、その夜、またしてもマンションの一室に召還されることになる。玄野たちは否応なく、戦いを強いられていく。

 小学生のころ強かった玄野が加藤を助けたという設定からすれば、二宮和也と松山ケンイチの役柄は体格からいって逆の方が良いような気がするが、原作の2人も映画と同じ体格だ。玄野たちは星人と戦うために黒いGANTZスーツを着る。このスーツ、強化防護服(パワードスーツ)の一種で、身体能力を大幅にパワーアップし、攻撃から身を守る。いわば人を超人にするスーツだ。玄野がスーツの威力をためすため階段を高く高くジャンプするシーンは自分の進む道を自覚する良いシーンだと思う。ちなみにこのスーツを着た岸本恵(夏菜)の姿は綾波レイを思わせた。夏菜は昨年の「君に届け」に続いて魅力を発散している。川井憲次の音楽も相変わらず好調である。

 4月23日に公開されるパート2は「Perfect Answer」というサブタイトルが付いている。個人的には謎に満ちた話の真相よりも主人公がヒーローとしてどう成長していくのかが気になる。くれぐれも「マトリックス」のような路線変更はなしにしてもらいたいものだ。