2012/11/18(日)「機龍警察 自爆条項」

 1作目はパトレイバーの設定を借りた警察小説という趣だったが、今回は冒険小説のテイストを取り入れている。それもそのはず、作者の月村了衛はジャック・ヒギンズやアリステア・マクリーンの小説が好きなのだという。今回メインとなるのはライザ・ラードナー。元IRFのテロリストで現在は警視庁特捜部に雇われた突入班の傭兵。機龍兵(ドラグーン)のパイロットで警部の肩書きを持っている。現在の事件と併せてそのライザの過去が描かれる。これがもうジャック・ヒギンズの世界だ。

 軽いジャブのような1作目から作者は大きく進化している。このタイトル、設定だと、ミステリファンは手に取りにくいが、少なくとも冒険小説ファンなら満足するだろう。虚無的なライザの魅力が光る。「このミス」9位で、「SFが読みたい」では11位。これはSFではないから仕方がない。作者の本領は冒険小説にある。

 

2012/07/18(水)「世界金融危機でわかった! しぶとい分散投資術」

 1929年の世界恐慌でも分散投資をしていれば、3年9カ月で収益がプラスに転じたという長期分散投資のメリットを説く。長期分散投資に関して一通りの知識はあるので、新たに学べたことはあまりなかったが、外貨投資に関して参考になることが多かった。「高金利通貨は必ず下落して、それまでの利息収入が吹き飛ぶ」という指摘とその理由には納得。FXや株の短期トレードではなく、長期のコツコツ投資を目指す人は買って損のない良書だと思う。