2012/11/18(日)「機龍警察 自爆条項」
1作目はパトレイバーの設定を借りた警察小説という趣だったが、今回は冒険小説のテイストを取り入れている。それもそのはず、作者の月村了衛はジャック・ヒギンズやアリステア・マクリーンの小説が好きなのだという。今回メインとなるのはライザ・ラードナー。元IRFのテロリストで現在は警視庁特捜部に雇われた突入班の傭兵。機龍兵(ドラグーン)のパイロットで警部の肩書きを持っている。現在の事件と併せてそのライザの過去が描かれる。これがもうジャック・ヒギンズの世界だ。
軽いジャブのような1作目から作者は大きく進化している。このタイトル、設定だと、ミステリファンは手に取りにくいが、少なくとも冒険小説ファンなら満足するだろう。虚無的なライザの魅力が光る。「このミス」9位で、「SFが読みたい」では11位。これはSFではないから仕方がない。作者の本領は冒険小説にある。