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2012年08月12日の記事

2012/08/12(日)「狂った果実」

 WOWOWが「日活100周年!日活ロマンポルノ特集」と題してロマンポルノ6作品を放映中だ。その1本目が根岸吉太郎の「狂った果実」(1981年)。劇場公開時にも見ているが、今回の放映版(R指定版)を録画してあのラストシーンだけを見て感激を新たにした。

 スナックでの主人公の怒りの爆発と暴力の場面から、傷だらけになりながら部屋に帰って母親に電話をするシーン、そして翌朝ジョギングをする姿。アリスの「狂った果実」が流れるこのラストシークェンス(ストップモーションで終わる)は何度見ても傑作だと思う。主演の本間優二は前作「19歳の地図」(柳町光男監督)を引きずった20歳の青年役を演じて確かな実在感がある。鬱屈した青春を描いた鋭い傑作。蜷川有紀の代表作でもあるだろう。根岸吉太郎はこの頃、絶好調だったなとあらためて思う。

 WOWOWの特集は東陽一「ラブレター」、相米慎二「ラブホテル」、浦山桐郎「暗室」、高林陽一「赤いスキャンダル 情事」のメジャーな監督作品に加えて上垣保朗「ピンクのカーテン」が入っている。ま、これは美保純が出ているからだろう。美保純はあの外見からはちょっと想像がつかない文学少女っぽい側面があって好きだった。