2002/10/28(月)「トリプルX」

 ノリのいい音楽で綴られるアクション映画。007と正反対のシークレット・エージェントを主人公にして(冒頭に007風のエージェントが敵に殺される場面がある)、特色を出そうとしたのだろうが、やはり007的な展開からは抜け切れていない。というか、ほとんど007。特に終盤、悪の組織(アナーキー99)が人類抹殺の兵器を出してくるあたり、少し前の007そのままだ。

 ロブ・コーエン監督のアクション場面の撮り方は悪くないし、主演のヴィン・ディーゼル(「ピッチブラック」)も相手役のアーシア・アルジェントも(声がかわいければ、もっと)良いのだが、ストーリー・テリングは大ざっぱ。主人公の行動に説得力を持たせる要素と緻密な演出が必要だったと思う。

 しかし、少なくとも同じチェコを舞台にした「9デイズ」などよりは相当いい。雪崩からスノボーで逃げるシーンや爆発の中をオートバイで逃げるアクションなど、CGやスタントを使っているのがありありなのだが、それなりに見せてくれる。これはディーン・セムラーの撮影も貢献しているようだ。アクション場面だけをのんびり見て楽しむ気楽な作品というところか。

 なお、アーシア・アルジェントはその名前の通り、ダリオ・アルジェント監督の娘なのだそうだ。監督作品もあるとのこと。