2000/10/16(月)「オータム・イン・ニューヨーク」
中年プレイボーイと難病の若い女性との愛。と聞いただけでほぼ内容の想像はつくし、映画もそういう風に収斂していくのだけれど、そんな不満をウィノナ・ライダーが救っている。間もなく29歳になるライダーは22歳の役をやってもなんら違和感がなく、この映画の魅力はライダーが一身に背負っていると言っていい。まったく、ほれぼれするほど美しく、いつまでもいつまでも見ていたくなる。
女優が輝く時期というのは実はとても短い。せいぜい30代前半までだろう。10代のころから映画に出ているライダーは今が本当の旬の女優なのではないかと思う。
だからこそこのありふれた結末では惜しい。難病だからといって、お涙ちょうだいものにする必要は何もないのである。むしろハッピーエンドになっていたら、そんな馬鹿なと思いつつも、もっともっと気持ちの良い映画になっていただろう。いや、もちろん、この映画で感動する人もいると思う。僕だって途中、いくつかジンと来る場面があった。でもね。そんなありふれたパターンでは感動の限界というものがあるのである。
監督2作目のジョアン・チェンの演出が悪いわけでもリチャード・ギアら俳優の演技が悪いわけでもなく、この映画の不備はすべて脚本にある。