2000/06/21(水)「グラディエーター」

 「インサイダー」のラッセル・クロウは太っていて驚いたが、あれは役作りのためだったらしい。この映画のために17キロ痩せたそうだ。体重をそんな風にコントロールできるとは羨ましい。

 ローマ帝国を舞台にした復讐劇でリドリー・スコット監督がいつものように素晴らしい映像を見せてくれる。冒頭の戦闘シーンで弓矢がピュンピュン飛ぶ様子は「プライベート・ライアン」の弾丸の怖さを思い起こさせてくれた。ま、こういう映画でリアルで残虐な戦闘シーンにする意味が今ひとつ理解できないが、とりあえず迫力はたっぷりある。その後のローマ帝国の描写もCGを駆使してかつての「ベン・ハー」などの史劇を思わせるスペクタクル。ただ、どこか本物とは違う感じがする。CGがいくらリアルになっても限界はあるのだろう。あまりスケールの大きさを感じない。

 ローマ皇帝に妻子を殺された将軍が奴隷の身からグラディエーター(剣闘士)となり、復讐を誓う話。2時間35分にしてはひねりがないので途中で飽きてくる。大作風の描写を削ってでも、2時間以内にまとめた方が良かった。ラストに1対1の対決をするのはこうした映画の定石ではあるが、この映画の設定、工夫が足りないように思う。

 何よりも復讐の意識をどこかに忘れたかのようにコロシアムで人を殺し続ける主人公に共感を持たせるのは難しい。もっと心情をきめ細やかに描く必要があったのではないか。復讐を果たしても今ひとつ晴れ晴れしない話なのである。