2006/02/19(日)「ブラック・セプテンバー 五輪テロの真実」
2000年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞作(原題はOne Day in September)。スピルバーグの「ミュンヘン」公開劇場ではDVDが先行販売されているそうだ。DVDのタイトルは「ブラック・セプテンバー ミュンヘン・テロ事件の真実」。
事件の始まりから終わりまでを当時のニュース映像と関係者、遺族、そして8人の犯行グループのただ一人の生き残りジャマール・アル・ガーシーのインタビューで構成している。犯行グループは3人生き残ったが、2人はイスラエルの暗殺団に殺され、ガーシーはアフリカに隠れ住んでいるという。
ドイツ政府は空港で犯人を捕らえるか射殺する計画を立てたが、用意した狙撃兵は5人だけ。犯行グループの数を4、5人と思っていたためだ。飛行機の中に隠れ、犯人を捕らえる予定だった警官たちは「これは自殺行為だ」として犯行グループの到着直前に逃げてしまう。人質全員が死亡するという最悪の結末となったのはドイツ政府のこの対応がまずかったからというのがはっきり分かる。当時はテロへの準備も態勢もなく、ずさん極まりない計画を立てたのが最大の原因だろう。
驚いたのは犯行グループの3人が釈放されたハイジャック事件の真相。事件から7カ月後に起きたルフトハンザ機のハイジャックで、飛行機に乗っていた乗客は12人。それも男ばかりだった。ドイツ政府とテロリスト側が裏取引して事件を演出したらしい。背景には3人を釈放することで、テロを防ぎたいというドイツ政府の意図があったという。そこまでやるか、という感じ。ドイツの対応にイスラエル政府が怒ったのも当然だなという気になる。