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共同警備区域(Joint Security Area)で起きた南北兵士同士の殺人事件を中立のスイス軍女性将校が捜査する。北と南で言うことは食い違い、事件は藪の中的様相。その背景には南北分断の悲劇が横たわっていた。
韓国では公開15日目で観客動員100万人を突破したという大ヒット作。あの「シュリ」の記録も塗り替えた。朝鮮民族に切実なテーマも要因だろうが、映画のエンタテインメントとしての作りが広く支持されることになった一番の理由だと思う。語り口は「シュリ」よりずっと洗練されている。しかし関係者とみられる兵士の回想でその事件の半分以上が明らかになるという構成はもう少し考える必要があった。回想が長すぎるのである。
板門店の緊張感漂う描写と南北兵士の交流の風景の温かさのうち、パク・チャヌク監督の資質は後者にあるようだ。パンフレットによると、南北兵士の非公式の交流はウワサとして絶えないのだという。それを考えれば、実際にはありそうにないこのストーリー展開も納得はするが、事件の真相には今一つ説得力に欠ける。なぜ、あの兵士は○○○を○○○しなければならなかったのか。それをしなければならない体制に押しつぶされた民族の悲劇ととらえることもできるのだが、兵士の行動に納得いかない部分が残る。
個人的には「シュリ」の熱い語り口の方が好みである。韓国での公開は昨年9月9日。ヒットの要因として歴史的な南北首脳会談の年だった影響も見逃せない。