2011/04/30(土)「カティンの森」
第2次大戦中、ポーランド軍将校ら1万2000人が虐殺されたと言われるカティンの森事件をアンジェイ・ワイダ監督が映画化。ワイダ監督の父親も事件の犠牲者であるという。この映画を撮った時、ワイダ監督は80歳を超えていたが、硬質で緊張感あふれる画面構成は老いを感じさせない。機械的に淡々と行われるラストの処刑シーンには背筋が凍り付く。
戦後、ソ連に支配されたポーランドで事件が封印されたことも怖い。ソ連は事件をドイツ軍の犯行として喧伝し、異を唱える者を迫害する。それでも自分に嘘をつくことを拒否する人々の姿が胸に迫る。ワイダ監督らしい人物像だ。ドイツ軍とソ連軍に支配され続けたポーランドの悲劇を描き、被支配者の怒りに満ちた傑作。
2011/04/30(土)「エリザベス:ゴールデン・エイジ」
クライマックス、スペインの無敵艦隊との戦いが弱い。戦いの断片を描くだけで全体像が見えてこないのだ。監督のシェカール・カプールはスペクタクルな描写に興味がないのだろう。というか、撮れないのだろう。
1998年の「エリザベス」から9年後に撮られた同じスタッフ、キャストによるエリザベス1世の物語。ケイト・ブランシェットは好きな女優なのだが、コスチュームプレイは似合わないと思う。「エリザベス」よりもその次の「バンディッツ」で僕はブランシェットの魅力が分かった。
2011/04/30(土)「Queen Victoria 至上の恋」
1997年の作品。アルバート公が腸チフスのために42歳で死んで3年後のヴィクトリアと侍従のブラウンの秘めた恋を描く。というか、2人の恋心は公然の秘密となって、それが巻き起こす騒動を描いている。ヴィクトリアを演じるのはジュディ・デンチ。40代半ばの設定とはいえ、「ヴィクトリア女王 世紀の愛」のエミリー・ブラントとはあまりに落差がありすぎる。
Wikipediaにある50歳のヴィクトリア女王の写真を見ると、容姿はジュディ・デンチの方が近かった。デンチはこの映画でアカデミー主演女優賞にノミネートされた。監督は「恋に落ちたシェイクスピア」のジョン・マッデン。評判は良い映画だが、やはり僕にはあまり興味が持てなかった。
2011/04/30(土)「ヴィクトリア女王 世紀の愛」
若き日のヴィクトリア女王とアルバート公を描く。僕にはほとんど興味を持てない題材、ということはよく分かった。なにが世紀の愛なんだか。原題はThe Young Victoria。ヴィクトリアを演じるのは「プラダを着た悪魔」のエミリー・ブラント、監督はジャン=マルク・ヴァレー。アカデミー衣装デザイン賞を受賞した。これは納得。
2011/04/26(火)「あなたは私の婿になる」
サンドラ・ブロック主演のラブコメで、録画しても見る気が起きなかったのだが、見てみたらそれなりに良く出来ていた。
労働ビザが切れて国外退去を命じられた雑誌の編集長マーガレット(ブロック)が部下のアンドリュー(ライアン・レイノルズ)と偽装結婚をすることで退去を免れようとする。最初は反発し合うが、週末にアンドリューの故郷であるアラスカのシトカに行き、その人の良い家族に触れてマーガレットには次第に本物の恋心が芽生え始める、というお決まりの展開。両親が死んで16歳から一人で暮らし、職場では魔女と呼ばれているマーガレットが変わっていく過程を監督のアン・フレッチャーはそつなくまとめている。
ただ、40代半ばのブロックにこうした役柄は少し似合わないという思いはどうしても残る。原題はThe Proposal。これも邦題が良くない。