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2011年05月02日の記事

2011/05/02(月)「誰がため」

 2008年のデンマーク映画(チェコ、ドイツ合作)。ナチス・ドイツ占領下のデンマークで、 レジスタンスの闘士フラメンとシトロンは 上司のヴィンターから指令を受け、対独協力者を暗殺していた。だが次第に2人には自分たちの行動は誰のためになっているのか、との疑念が芽生え始める。

 実話の映画化には珍しく、陰謀と裏切りが渦巻くギャング映画のような作りになっている。それがとても魅力的だ。社会派というよりエンタテインメントの要素が大きい。原題はFlammen & Citronen(フラメンとシトロン)。フラメン役のトゥーレ・リントハートは初めて見る役者だが、クールな雰囲気が良い。シトロンを演じるのは「007 カジノ・ロワイヤル」などのマッツ・ミケルセン。監督はオーレ・クリスチャン・マセン。2008年度のデンマーク・アカデミー賞で5部門を受賞したそうだ。

2011/05/02(月)「フランケンシュタイン 野望」

 ディーン・クーンツの小説。天才科学者ビクター・フランケンシュタインが200年後の今も生きていて、新人種を多数作り出しているという設定。新人種は社会の至る所に送り込まれ、旧人種(つまり今の人間)を絶滅させる日に備えている。臓器など体の一部を切り取る凄惨な連続殺人事件の捜査をしていた女性刑事カースンとマイケルはフランケンシュタインの存在にたどりつく。フランケンシュタインが最初に創造したモンスターはデュカリオンと名乗り、やはりフランケンシュタインの野望を阻止しようとしていた。

 シリーズの第一弾。連続殺人事件だけで話が終わるのはいかにも導入部という感じだが、物足りないことこの上ない。話の密度が薄いのだ。元々、マーティン・スコセッシも企画に加わったテレビシリーズ用に書いた原作だが、制作者と意見が合わず、クーンツもスコセッシも降板した。テレビシリーズ自体もパイロット版(2004年、マーカス・ニスペル監督)だけで頓挫したとのこと。同じクーンツのオッド・トーマスシリーズは1作目が素晴らしかったので、4作目まで読んだが、そのシリーズを中断してこれにとりかかる必要があったとは思えない。といっても水準はクリアしている。パイロット版は「デュカリオン」としてDVDが出ている。新たに映画化の話があるそうだ。

2011/05/02(月)「運命のボタン」

 リチャード・マシスンの原作を映画化。といっても、原作に基づいているのは最初の30分で、あとは映画のオリジナルである。そしてこの部分が三流SFといった感じにしかなっていない。この話なら1時間のドラマで十分じゃないかと思えてくる。結局、途中に描いてあることが消化不十分なまま終わっているのである。キャメロン・ディアス主演。監督は「ドニー・ダーコ」のリチャード・ケリー。

2011/05/02(月)「コララインとボタンの魔女」

 3DCGかと思ったら、人形を使ったストップモーション・アニメーションだった。ニール・ゲイマンの児童文学を「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のヘンリー・セリックが映画化したダークなファンタジー。

 コララインは引っ越してきた山間の家、ピンク・パレスで小さなドアを見つける。入っていくと、そこには現実世界より優しいママとパパがいた。ただ、ママとパパの目はボタンだった。何度もこの世界に入っていくうちにボタンのママはずっとここにいるようにコララインを誘う。それには簡単な処置が必要だった。コララインの目をボタンにすることだ。実はボタンのママは邪悪なボタンの魔女で、現実世界のママとパパも魔女に消されてしまう。コララインはママとパパ、そして魔女に封じ込められた子供たちを助けるため、魔女と対決する。

 小さな子供には怖い場面もあるだろうが、それだけに少しだけ不満がある現実世界の素晴らしさを強く再認識することになるだろう。こういう映画を見て育った子供は幸せだと思う。大人が見ても面白い作品。僕は「ナイトメア…」よりこちらの方が好きだ。