2011/05/11(水)「ザ・ウォーカー」
バカにして見始めたら、面白かった。文明崩壊後の世界を舞台にしたアクション。序盤、デンゼル・ワシントンが大きな山刀で数人の敵を一瞬にして倒す場面でおおお、と思う。ワシントンは西を目指して30年間歩いている。1冊の本を届けるためだ。そういう貴重な本ということであれば、容易に想像がつくが、映画はモノクロームに近い単色系の色あせた画面で説得力のあるストーリーを展開する。ゲイリー・オールドマンが支配する街でのアクションを見ると、基本は西部劇だなと思う。オールドマンもその本を求めていて、ワシントンとの争いが始まることになる。
ちょっと引っかかったのは東海岸から西海岸までいくら歩いてであっても30年もはかからないだろう、ということぐらいか。「マッドマックス2」のような世界を舞台にした佳作。監督はアルバート&アレン・ヒューズ兄弟。クレジットはThe Hughes brothersと出た。
見ていて思ったのは本は強いなということ。電気のない世界では電子ブックなんて役に立たない。本は電気がなくても読むことが出来るし、紙が傷まない限りは数百年でも保存できる。iPadの発売以降、電子出版が注目を集めているけれど、本当の本好きは本から離れることはないだろう。ま、出張などで持って行くと、何冊でも入れられる電子ブックは便利ではありますけどね。
2011/05/11(水)「グリーン・ゾーン」
イラクに大量破壊兵器(WMD)がなかったのは既定の事実なのだから、今さら、それがアメリカ政府上層部のでっち上げだったなんてことを力をこめて言っても、あまり意味はない。マイケル・ムーアの言うようにこれはフィクションとして作るべき題材ではなかったと思う。事実を積み上げた映画であれば、もっと評価は高かっただろう。
それよりもこの映画を「反米的」などと罵倒する評論家がいることに驚く。そういうバカがいる国でこういう映画を撮ったことには意義があるのかもしれない。監督が「ユナイテッド93」のポール・グリーングラスなのでサスペンスやアクションは水準を行っている。「この国をお前たちのいいようにはさせない」というイラク人の主張をもっと前面に出した方が良かっただろう。
2011/05/11(水)「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」
好きなシリーズだが、あまりの評判の悪さに昨年見逃した。冒頭、湾岸署の新庁舎への引っ越しの場面がいきなり間延びした展開でがっかり。黒澤明「野良犬」を引用したような拳銃を盗まれる事件(ただし、引っ越しのどさくさ紛れ)から湾岸署占拠、青島(織田裕二)が過去に逮捕した犯人たちの釈放要求(これがヤツら、というわけ)と続く。
話のスケール感に乏しいのが難で、占拠されるのは湾岸署ではない方が緊迫感が増しただろう。警察内部の事件と思えてしまうのである。事件の首謀者である小泉今日子と織田裕二の対決にもっと深い理由付けも欲しい。
良かったのは映画版では初登場の内田有紀。もっと映画に出てはどうか。
2011/05/11(水)「大怪獣ガメラ」
1965年のガメラ第1作。WOWOWでは今、大映特撮スペクタクル映画の特集をやっている。ラインナップはこの映画のほか、「秦・始皇帝」「釈迦」「大魔神」の4本。ふむ、そんなものか。旧ガメラシリーズは何本か見ているが、これは初めてだった。平成ガメラ3部作とは比べるべくもないけれど、ガメラの鳴き声だけは平成ガメラも踏襲している。
ガメラはエネルギーを吸収するので、普通の兵器は役に立たない。そこで取られた方法は冷凍爆弾で10分間、ガメラを動けなくし、その間に爆弾をしかけて崖からガメラを落とし、裏返しにする方法。亀は自力で起き上がることはできないので、気長に待っていれば、やがてガメラは飢え死にする、というほとんど冗談みたいな方法である。ところが、ガメラは手足を引っ込め、炎を噴き出して空中に浮かぶ。それを見ていた科学者が驚いて言う。「亀が空を飛ぶとはのう…」。もちろん、”亀も空を飛ぶ”のである。
クライマックスに出てくるZ計画というガメラの撃退法にはちょっと感心。ウルトラマンのエピソードに似たものがあったが、こちらの方が先だ。SFに詳しい人よりもそうじゃない人の方が思いつきそうなアイデアである。