2016/02/20(土)「ウェイワード・パインズ 出口のない街」第1話
FOXテレビで始まったサスペンスドラマ。「M・ナイト・シャマラン初のドラマシリーズ」というコピーよりも、ブレイク・クラウチ原作(「パインズ 美しい地獄」「ウェイワード 背反者たち」「ラスト・タウン 神の怒り」)のドラマ化ということで興味を持って第1話「偽りの理想郷」を見た。原作は薄味の大作というB級風味あふれる作りで、簡単な感想は以前書いた。3部作のエピローグのラスト1行はほとんどジョークとしか思えない。高く評価はできないが、スラスラ読めるので暇つぶしにはなるというぐらいの小説である。
ドラマはマット・ディロン主演、ジェイソン・パトリック、ジュリエット・ルイス、カーラ・グギノ、メリッサ・レオら共演で、かつての映画スターが顔を揃えている。
シークレット・サービスの捜査官イーサン・バーク(マット・ディロン)は森の中で目覚める。体は傷だらけ。ウェイワード・パインズという町までたどり着いたイーサンはそこで倒れ、病院に収容される。看護師によると、イーサンは交通事故に遭ったのだという。家にもシークレット・サービスにも連絡がつかない。病院を抜け出したイーサンは酒場でビバリー(ジュリエット・ルイス)に出会い、住所を書いたメモを渡される。その家を訪ねると、同僚の腐敗死体があった。
イーサンはラストで町の周囲に高い壁があるのを知る。町からはどうしても出られないらしい。原作を読んでいると、展開がまだるっこしいが、演出は悪くないと思う。とりあえず、怪物が出てくるまでは見ようかと思う。いつごろ出てくるんだろう。IMDbの評価は8.3。ちなみに第1話は無料視聴できる。既にDVDも発売済みだ。
それにしても、この出演者は10年以上前なら凄い豪華キャストだっただろう。映画でお呼びがかからなくなると、テレビに出るようになるのはどこでも同じだ。とはいっても、テレビから映画に進出するケースも多く、「ウォーキング・デッド」のローレン・コーハンは「The Boy」という新作で主演している(B級ホラーらしい)。コーハンは「バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生」ではスーパーマンの母親役を演じる(違った。バットマンことブルース・ウェインの母親役だった)。そこそこ美人でスタイル抜群なので映画でも十分通用するのだろう。
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2016/01/28(木)「Childhood's End 幼年期の終り」第1話
地球の各都市の上空に巨大な宇宙船が現れる。宇宙人は地球を管理し、「戦争や病気などすべての苦しみをなくす」と宣言。進んだテクノロジーを持つ彼らはオーバーロード(上帝)と呼ばれた。オーバーロードはリッキー・ストームグレン(マイク・ヴォーゲル)を宇宙船内に連れて行き、地球人との仲介役を依頼する。
IMDbによると、第1話の上映時間は1時間21分。だが、AXNの放送版は1時間足らずだった。あれ、そこで終わり、という感じ。原題は「Overlords」だが、放送版のタイトルは「オーバーロード 前編」となっていたので、途中で切ったのだろう。これと「スーパーガール」「ザ・マペッツ」の3本から3月に本放送を開始する作品を選ぶ「最新ドラマ投票」( http://vote.axn.co.jp/ )のための放送だったので長い予告編みたいなものか。「スーパーガール」同様、VFXに不満はないが、途中まで見せられても評価のしようがない。
アメリカでは昨年12月14日から3夜連続で放送された。3話とも1時間20分程度の長さ。原作も3部構成だし、3話で完結するのだろう。
考えてみると、この作品の設定は「地球の静止する日」(1951年。リメイク版は「地球が静止する日」)に似ている。「幼年期の終り」の原作は1953年発表なので、アーサー・C・クラークはヒントにしたのだろうか。と思って、Wikipediaを見ると、「幼年期の終り」の元になったのは1946年にクラーク自身が書いた短編「守護天使」だそうだ。
2016/01/25(月)ドラマ版「スーパーガール」
アメリカで昨年10月から放送が始まった「スーパーガール」のパイロット版をAXNが24日に放送した。スーパーマン(カル・エル)のいとこのスーパーガール(カーラ・ゾー=エル)がファントムゾーンから出てきた悪人たちと戦う。テレビでVFXがここまでできれば十分で、僕はそこそこ面白く見たが、アメリカでの評判はあまり良くない。
IMDbの評価は6.4。ロッテン・トマトではレビュアーが97%支持しているのに、ユーザーの支持は51%と低い。ただし、IMDbのエピソードごとの採点を見ると、このパイロット版が一番低くて7.2。話が進むに連れて点数はだんだん上がっていってるのに、シリーズ全体で6.4の採点はおかしい。全体とエピソードごとに別々に投票できるので、こういうことになる。
主人公のスーパーガールを演じるのはメリッサ・ブノワ。映画「セッション」で主人公のガール・フレンドを演じた女優だ。「スーパーガール」でも健康的な感じで良い。ジェイムズ・オルセンをアフリカ系アメリカ人のメカード・ブルックスが演じているのは大きな改変。アフリカ系のノミネートゼロだったアカデミー賞よりはよほど見識がありますね。
驚いたのは映画版「スーパーガール」(1984年)を演じたヘレン・スレイターが養母役で出ていたこと。もう52歳で映画ではすっかりご無沙汰だが、アメリカのテレビにはけっこう出ているらしい。
続けて放送した「CHILDHOOD’S END 幼年期の終わり」も録画したが、まだ見ていない。もちろんアーサー・C・クラークの名作SFのドラマ化で、ミニシリーズらしい。原作は細部をすっかり忘れている。覚えているのはオーバーロードのオチだけ。地球人の“未来の記憶”はどんな造型になっているのだろう。IMDbの評価は「スーパーガール」よりも高い7.1(http://www.imdb.com/title/tt4146128/)。
AXNのサイトを見たら、第2シーズンの放送開始を前に「ハンニバル」第1シーズンを2月7日に一挙放送するとのこと。「ゴッサム」も2月21日に一挙放送する。フォックステレビでは「ウォーキング・デッド」第6シーズンの後半を最速で放送するし、スカパー!やケーブルテレビを契約している人はネットフリックスなどのオンデマンドサービスは要らないような気が。ネット配信は録画の手間をかけなくても好きな時にCM抜きで見られるのが大きなメリットではありますけどね。
2015/08/29(土)「きのこ雲の下で何が起きていたのか」
8月6日に放送されたNHKスペシャル。録画しておいたのをようやく見た。胸をかきむしられるような番組だった。原爆投下3時間後に中国新聞の記者が撮影した2枚の写真を詳細に分析して被爆直後の様子を再現する。証言を基にして写真をCGで動かすというのが凄すぎる。
写真に映った人たちの中で生き残ったのはわずかに4人。「70年頑張ってきたんだから」と話す90歳の坪井直人さん、「何のために生かされてきたんでしょうかねえ」と話す83歳の河内光子さん。大やけどを負い、水を求めて無残に死んでいった周囲の人たちにすまないと思いながら戦後を生きてきた2人の証言は重い。
この番組、核兵器の恐ろしさを伝えるために国内だけでなく、世界の人たちに見てほしい。YouTubeにアップされているが、そのうち削除されるのだろうか(その後削除された)
2015/07/12(日)NHK「老後危機」で気になったこと
11日放送のNHKスペシャル「老後危機」の中で気になることがあった。毎月1万円を30年間積み立てて得る運用益は毎月3000円余り節約するのと同じという計算だ。ゲストのFPは運用利回りを2パーセントとして計算していた。エクセルのFV関数で計算してみると、30年後の受け取り額は492万7254円で運用益は132万7254円となる。運用益を360カ月で割ると、確かに1カ月当たり3687円節約すれば、運用しなくても同じことになる。
これ、早とちりしやすいのは、それなら積み立てしなくても節約するだけでいいじゃないかと思ってしまうこと。あくまで毎月1万円の積み立てを利回りゼロパーセントで30年間積み上げた結果との比較であることに注意。今の普通預金はほぼゼロ金利(0.02%)なので、30年間積み立てても利子は1万791円にしかならない(0.025パーセントの定期預金でも1万3496円だ)。番組の結論は銀行預金での積み立てと節約を組み合わせれば、株式投資信託などリスクを取った運用はしなくても同じ、と受け取っても良いだろう。
気になったのは利回り2パーセントが少し低すぎないかということだ。例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は運用の目標利回りを3.2パーセント( 基本ポートフォリオの考え方)としている。この利回りで毎月1万円積み立てを計算すると、30年後の総額は603万1356円で、運用益は243万1356円となる。これを毎月の節約で達成しようとすると、6754円となる。ただし、株式の割合を高めた昨年度のGPIFの運用益は過去最高の15兆2922億円となり、利回りは12.27パーセントに及んだのだ。もちろん、これが毎年続くわけではないし、赤字の年もあるだろう。だから、こうした積み立ての期待利回りは5パーセント程度にするのが普通だ。
利回り5パーセントで計算すると、30年後の総額は832万2586円、運用益は472万2586円となり、積み立て分の360万円を大きく超える。この収益を節約で達成しようとすると、毎月1万3118円の節約が必要になる。積み立てを2万円に増やせば、収益も2倍になり、総額は1664万5173円となる。これならば、ボーナス月の加算などによって、よく言われる老後の必要資金3000万円も達成できそうだ。利回りが高くなれば、節約では追いつかなくなる。
運用利回り2パーセントの根拠が番組の中では示されず、おまけに「バブルで失敗したから投資はこりごり」なんていう意見まで出て、どうも節約の結論ありきだったような印象を受けた。NHKが投資を奨励するわけにはいかないのだろうが、運用の実際は正しく伝えないと、高齢者は銀行預金にため込んだお金を投資で社会に循環させようとはしないだろう。NHKには「じぶん年金」の作り方を教えるような投資教育番組も作ってほしいものだ。