2014/09/23(火)「エリジウム」

 どう考えても、エリジウムという宇宙都市の構造には無理がある。この都市、宇宙空間に浮かぶのに密閉されていない。回転による遠心力で1Gの疑似重力を発生させ、空気をとどめておこうとすると、相当な規模が必要になる。地球の大気圏(1000キロ以上)ほどの規模があるなら大丈夫だろうが、この都市の大気圏は数百メートルぐらいしかなさそうだ。それに何らかの事故によって回転が止まってしまうと、空気がなくなるのは避けられない。どころか、人間も物も宇宙空間に放り出されてしまう。そんな危うい構造では安心して住んでいられないだろう。

 富裕層と貧困層が明確に区別された世界というのは1%の富裕層が99%の富を手にしているというアメリカ社会を反映しているのだろうが、基本設定に無理があるので、現実批判にまで結びついていない。ドラマもあまり盛り上がらず、珍しい悪役のジョディ・フォスターは簡単に消える。もう少し脚本を練り上げる必要があったと思う。