2012/02/22(水)「月に囚われた男」

 WOWOWで放映したので見る。確かにこれは「2001年宇宙の旅」やダグラス・トランブル「サイレント・ランニング」、そして「惑星ソラリス」など宇宙での孤独な作業に従事する男というシチュエーションが共通している。端正で正統的なSF映画たりえているのはダンカン・ジョーンズにSFの資質があるからだろう。

 月の裏側でエネルギー源となる鉱石が発見される。主人公のサム・ベル(サム・ロックウェル)はその鉱石を採掘するルナ産業の社員。たった一人で月に勤務し、機械による採掘と搬送を管理している。相棒はコンピューターのガーティ(声はケヴィン・スペイシー)だけ。勤務は3年。あと2週間で終わる。サムは地球に残してきた妻と幼い娘に再会することを楽しみにしている。しかし、ある日、サムは月面での作業中に事故に遭ってしまう。

 ストーリーを書けるのはここまでだ。これを見ると、「ミッション:8ミニッツ」がこの映画の変奏曲であったことがよく分かる。「ミッション…」の主人公もまた「囚われた男」だったし、命の継承、非人道的な任務、それを打開しようとする主人公という展開もよく似ている。サスペンスタッチのうまさも、ハッピーエンドへの希求も同じである。

 IMDBの評価は8.0とかなり高い。VFXだけが派手で、中身に何のオリジナリティーもない映画に比べると、アイデア勝負のこの映画の得点が高くなるのも納得できる。ダンカン・ジョーンズの3作目も楽しみだが、今度は別パターンの話も見せて欲しいところだ。