2011/11/06(日)「ステキな金縛り」
三谷幸喜が女優を主人公にするのは初めてだという。なるほど、言われてみれば、これまでの映画で女優が主人公の映画はなかった。そして今回の深津絵里のが好演が成功の大きな要因ではあるなと思う。女性を主人公にした成長物語というのが実にうまくいっているのだ。はっきり言って最初のバナナをモチーフにした法廷場面のズッコケぶりなど見ると、どうなることかと思ったのだけれど、その後はまず順調な仕上がりで、深津絵里のコメディエンヌぶりが実にうまくはまっている。この役柄、アメリカ映画なら、ゴールディ・ホーンかリーズ・ウィザースプーンがぴったりの役柄のように思える。深津絵里はこの2人より知的な部分があって、それが好感度につながっている。
西田敏行や阿部寛、中井貴一ら他の出演者も総じて好演。法廷ものに駄作はないというジンクスを三谷幸喜自身が破らなかったのは喜ばしい。これまで映画デビュー作の「ラヂオの時間」からいまいち、イマイチ、今イチと思い続けてた三谷幸喜の映画で初めて満足できた映画だ。個人的には大好きな「スミス都へ行く」がモチーフの一つにあるあたりがとてもうれしく、今後の三谷幸喜作品も楽しみになってきた。