2006/11/20(月)「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」

 とんでもない傑作。個人的にはベストテン入り確実。全編にみなぎる緊張感と核心を突いたセリフの応酬に震えがくるほど。ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞したそうだ。当然だろう。

 ヒトラー打倒のチラシをまき、ゲシュタポに逮捕されながらも良心と信念を曲げなかった21歳の女子大生の話。ゾフィーを演じるユリア・イェンチと取調官のアレクサンダー・ヘルトの主張は完全に平行線なのだが、取調官はゾフィーのその強固な姿勢に揺らぐ場面を見せる。ここでゾフィーが語るセリフが凄すぎるのだ。

「神を疑う者に教会は服従を求める」

「教会は意思を尊重するわ。ヒトラーは選択を与えないわ」

「なぜ若いのに誤った信念のために危険を冒す?」

「良心があるからよ」「過ちを認めても裏切りにはならない」

「でも信念を裏切るわ。間違った世界観を持ってるのはあなたよ。最善の事をしたと信じているわ」

 ゾフィーは逮捕されて5日目に死刑判決を受け、即日処刑される。まるでジャンヌ・ダルクを思わせるような生涯だ。白バラとはゾフィーが所属していた組織の名前で、この映画のほかに「白バラは死なず」「最後の5日間」という2本の映画があるそうだ。そちらも見てみたい。