2002/02/19(火)「助太刀屋助六」

 「EAST MEETS WEST」以来7年ぶりの岡本喜八監督作品。1969年にジェリー藤尾主演で作られたテレビ映画の監督自身によるリメイクという(テレビ版のストーリーはパンフレットに岡本監督自筆の漫画で掲載されている。今回はラストを変えてある)。真田広之の軽快な身のこなしが良く、村田雄弘、鈴木京香、仲代達矢ら他の出演者たちも達者。1時間28分があっという間の楽しい時代劇になっている。感じとしてはかつてのプログラム・ピクチャー。予算は少なかったようで、その分、スケールの小ささは少し気になるし、助六と父親の関係や7年前の事件の詳細をもっと描いて欲しかったところだが、77歳の岡本監督、健在ぶりを示した1作と言える。

 仇討ちの助太刀が大好きな助六(真田広之)が助太刀の礼に15両もらい、故郷に帰ってくる。村ではちょうど仇討ちが始まるところ。助六はいつものように助太刀を買って出ようとするが、どうも勝手が違う。仇は7年前、同僚を斬った関八州の役人で、それを弟2人と助太刀の素浪人2人が討とうとしている。その仇とされる片倉梅太郎(仲代達矢)は村の棺桶屋にいた。風貌はちっとも悪人には見えず、仇らしくない。棺桶屋のじいさん(小林桂樹)は片倉を以前から知っているようだ。助六と片倉との間にほのかな交流が芽生えたところで、片倉は助六を気絶させて表に出る。多勢に無勢で片倉は倒される。目を覚ました助六はふとしたことで片倉の正体を知り、じいさんを問いつめる。事の真相を知った助六、片倉の仇を討とうと立ち

上がるが…。

 助太刀は好きだが、人は殺めない助六の刀は赤くさびている。それを墓石で研ぐシーンには助六の気持ちがこもっている。岡本喜八は重い気分を軽く描き、軽妙洒脱な映画に仕上げた。ジェリー藤尾と真田広之ではキャラクターが違うし、主人公の役柄は20代の役者が演じたいところなのだが、真田広之、なかなか頑張っていると思う。助六の幼なじみで番太(役人)を演じる村田雄弘もコミカルな味わいでうまい。ラストを変えた脚本は正解。主人公が死んでしまっては軽快な映画に水を差すところだった。

 音楽は「ジャズ大名」でも組んだ山下洋輔。アバンタイトル部分は真田広之が脚本も含めて任されたという。ここには竹中直人、伊佐山ひろ子、嶋田久作、佐藤允、天本英世などがカメオ出演しており、楽しい。