2000/08/09(水)「パーフェクト・ストーム」

 予告編を見て面白くなりそうな要素が皆無だったので期待はしていなかったのだが、やっぱり「なんじゃこりゃあ」という出来。グロスター岬の漁師たちの描写が延々と続き、史上最大のハリケーンが出てくるのは1時間を過ぎてから。この構成、70年代に流行したパニック映画(今はディザスター映画?)を思い起こさせる。しかしですね、漁船の乗組員がすべて死んでしまったのなら、この映画の後半で描かれていることはすべてフィクションですね。それなのに“実話に基づく”はないでしょう。こんなことなら実話に基づかず、もっと自由に物語を展開した方が良かったのではないか。

 肝心の嵐の描写はそれなりに良くできている。水を使ったSFXはかつては難しいと言われたけれど、今はCGなので何でもできるのだ。でも飽きてくる。何かプラスαが欲しかったところだ。そこがつまり物語の弱さであると思う。主演のジョージ・クルーニー、ダイアン・レイン、メアリー・エリザベス・マストラントニオらは生活感をにじませているが、「いや、別にわざわざこんな映画に出ていただかなくても」という感じで演技のしどころがない。

 「Uボート」のころはニュージャーマン・シネマの期待の星だったウォルフガング・ペーターゼンもあれから19年を経てすっかり凡庸な監督になってしまったようだ。