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スティーブン・キングの上下二巻、二段組みの大作。7月に買って寝る前にだらだら読み、ようやく読み終えた。ドームと呼ばれる謎の物体に閉じ込められたチェスターズミルという小さな町のドラマを描く。
ドームの中の空気が一気に悪くなる終盤の状況を読むと、これは地球全体の比喩なのかと思えてくる。空気が悪くなった原因は町を牛耳る悪の勢力との戦いの結果、起こった大爆発だ。チェスターズミルのドームはなくなれば、きれいな空気が取り戻せるが、地球の場合はそうはいかない。
キングは閉じ込められたことを利用した悪の勢力の台頭と、それに抵抗する人々のドラマを微に入り細にわたって描き出す。長さも内容も感染症によってほとんどの人間が死滅した世界を舞台にした「ザ・スタンド」と共通するシチュエーションだが、今回の超常現象はドームの存在だけであり、SF的な展開は少ない。悪の勢力も小粒な印象だ。大量の登場人物を多彩に描き分け、起こってくるさまざまなドラマを楽しむべき作品だろう。