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2025年11月30日の記事

2025/11/30(日)「佐藤さんと佐藤さん」ほか(11月第4週のレビュー)

 飲酒問題で降板した今森茉耶に代わって、今日放送の「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」第40話から志田こはくが登場しました。「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」(2022年)でのオニシスター役の演技が明るくておかしく好感度抜群だったので志田こはくによる代打が発表された時は歓迎の声が多かったです。潜入調査のために顔を変えたら元に戻らなくなってしまったという強引な設定で今森茉耶と同じ一河角乃=ゴジュウユニコーンを演じますが、最初から絶好調といった感じの演技で絶賛の声続々。今期で終わる戦隊ものを救った“救世主ナンバーワン”と言われてます。

 今森茉耶は「代々木ジョニーの憂鬱な放課後」(木村聡志監督)でヒロイン役を務めています。撮影したのはたぶん昨年で、公開中止などにならなくて良かったです。事務所から契約解除されたのは痛いですが、罪を犯したわけではないので復帰の芽は十分あると思います。

 さて、ミステリーはベストテンの季節。ミステリマガジン1月号に「ミステリが読みたい!2026年版」のベストテンが掲載されています。国内篇1位は櫻田智也「失われた貌(かお)」(新潮社、1980円=amazonではこの2倍ぐらいの高い価格で売ってる転売ヤーがいるので注意です)、海外篇はフリーダ・マクファデン「ハウスメイド」(ハヤカワ・ミステリ文庫、1408円)でした。国内篇は2位の山口未桜「禁忌の子」に101点の大差を付けていますが、海外篇は2位ホリージャクソン「夜明けまでに誰かが」と2点差、3位アンソニー・ホロヴィッツ「マーブル館殺人事件」と6点差の接戦でした。宮崎関連では国内篇5位に新川帆立「目には目を」が入りました。

 とりあえず1位の2冊を読もうと思ってます。「このミステリーがすごい!2026年版」は12月5日に発売予定です。週刊文春ミステリーベスト10もそろそろですかね。

「佐藤さんと佐藤さん」

「佐藤さんと佐藤さん」パンフレット
「佐藤さんと佐藤さん」パンフレット

 22歳で出会って37歳で離婚するまでの男女の姿をリアルに描く天野千尋(「ミセス・ノイズィ」)監督作品。一般観客の評価があまり高くないのは辛い内容だからでしょうが、きついセリフと描写の連続はイングマール・ベルイマン「ある結婚の風景」(1974年)を彷彿させました。天野監督自身、「ある結婚の風景」と「マリッジ・ストーリー」(2019年、ノア・バームバック監督)をイメージしていたそうです。結婚が題材なら、この傑作2本を思い浮かべるのは当然でしょう。

 佐藤紗千(岸井ゆきの)と佐藤保(宮沢氷魚)は大学時代に自転車置き場で出会い、同棲を始める。5年後、弁護士を目指す保は毎年、司法試験に挑戦していたが、不合格が続いていた。紗千は会社員として働いていたが、「一人で司法試験の勉強を続けるのは大変」と知人に言われたことから、保と一緒に受験勉強を始める。ところが、紗千だけが試験に合格。弁護士として働き始め、保は生まれたばかり子どもの世話をしながら勉強することに。そしてお互いのちょっとした言葉と行動に不満が積み重なっていく。

 「トイレの紙がないよ」と言った紗千の言葉にイラッとして「ないよって、それ僕に買いに行けってこと」と返す保の気持ちもよく分かります。外で働く妻と、バイトはしていても自宅にいることが多い夫の構図は共働きが当たり前になった今は珍しくはないでしょう。それでも長年続いてきたジェンダーの役割固定は「女性の休日」でも描かれたように当たり前のことと思っている人はいて、保もやっぱりそういう考え方に囚われた部分があるのだと思います。

 映画はそうした日常の不満やズレの積み重なりで別れることになる2人を描いていきます。オリジナルストーリーの脚本は天野監督と友人でもある熊谷まどかの共同。物語には天野監督が出産の前後に体験したことが盛り込まれているそうです。出産後は夫の収入に頼り、社会から取り残された感覚に陥ったこと、そして数年後、子どもを保育園に預けて仕事に復帰した際、夫に家事育児を任せきりになったこと。だから映画の描写はリアルなのでしょう。

 岸井ゆきのも宮沢氷魚も好演しています。岸井ゆきのの親友役・藤原さくらも良いですが、宮沢氷魚の故郷の先輩で、離婚して居酒屋で働く佐々木希の生活感のある色っぽさに感心しました。きれいだけど演技には期待できないと思っていた佐々木希を見直すだけの魅力がありました。
▼観客1人(公開初日の午後)1時間54分。

「女性の休日」

「女性の休日」パンフレット
「女性の休日」パンフレット

 昨年10月にNHK「BS世界のドキュメンタリー」で放送されたドキュメンタリーの完全版。テレビ放送時のタイトルは「女たちがいなくなった日 “男女平等先進国”アイスランドの原点」で、50分枠の放送時間を考えると、20分ぐらいのカットがあったのだろうと思います。

 1975年10月24日、アイスランドの女性たちが一斉に家事や仕事を休んだ1日を当時の参加者のインタビューと記録映像などで明らかにしています。アイスランドは御多分にもれず、同じ仕事であっても女性の賃金は男性より低く、就職差別や社会のさまざまな制度で差別が行われていました。女性たちは思想信条の枠を越えて連帯し、休日という名前のゼネラルストライキに至ったわけです。ストライキと呼ぶと、保守派の女性たちの協力を得られなこといから“休日”(Day Off)としたというのが実にうまい方法で、そうしなければ国の9割の女性の参加という目覚ましい成功は得られなかったでしょう。

 当時の記録映像はあまり残っていなかったため、映画はアニメーションで補足していますが、これは内容を分かりやすくする効果も上げています。

 エンディングの歌を歌っているのはアイスランド出身の歌姫ビョーク。なんとビョークは女性の休日のデモに10歳で参加し、フルートを演奏したそうです。演奏シーン自体はフィルムが残っていないそうですが、フルートを持って階段を降りるシーンは残っているとのこと。

 アイスランドは「女性の休日」から男女平等社会への努力を重ね、現在、ジェンダーギャップ指数で世界第1位となりました。日本は118位だそうです。

 映画の原題は“The Day Iceland Stood Still”(アイルランドが静止した日)。監督のパメラ・ホーガンはドキュメンタリー映画の製作者・監督・ジャーナリスト。IMDbによると、監督としてはテレビの作品が4本、劇場用映画はこれが初めてのようです。
IMDb8.0(アメリカでは未公開)
▼観客10人ぐらい(公開初日の午後)1時間11分。

「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」

 米ロック界を代表する重鎮ブルース・スプリングスティーンの若い日を描くドラマ。タイトルを聞いて、スプリングスティーンの音楽ドキュメンタリーかと勘違いしましたが、「クレイジー・ハート」(2009年)のスコット・クーパー監督による劇映画でした。アメリカでは評価高くないですが、日本では褒めてる人が多いですね。

 僕はスプリングスティーンについて「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」など数曲しか知らず、あまり関心はなかったんですが、映画との関わりがあることが興味深かったです。

 テレンス・マリック監督の「バッドランズ」(1973年)を見て連続殺人犯チャールズ・スタークウェザーを知り、彼を歌った「ネブラスカ」を作ったほか、ポール・シュレイダー監督の依頼で「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」を書いたというのが驚きでした。シュレイダーは同名映画の製作を予定していて、スプリングスティーンに出演と歌の依頼をしたそうです。結局、スプリングスティーンは映画には出演せず、映画のタイトルを借りて歌を作ったのだとか。

 パンフレットは販売していませんでした。製作の20世紀スタジオはディズニー傘下ですが、どうも20世紀スタジオの作品は冷遇されいる感じがありますね。
IMDb6.9、メタスコア59点、ロッテントマト60%。
▼観客5人(公開7日目の午後)2時間。

「金髪」

「金髪」パンフレット
「金髪」パンフレット

 校則への抗議でクラスの生徒たちが金髪で登校し、対応に困惑する教師を描くコメディータッチの作品。最初の30分ぐらいは面白く見たんですが、話があまり発展していかず、同じところをぐるぐる回っている印象。主演の岩田剛典は健闘してますが、空回り気味です。

 脚本・監督は「君の顔では泣けない」の坂下雄一郎。共演は白鳥玉季、門脇麦ほか。

 パンフレットはシナリオの採録が掲載され、出席簿のようなデザインも良いと思います。
▼観客2人(公開5日目の午後)1時間43分。