2011/10/16(日)「モールス」

 ヨン・アイヴィデ・リンドクィストの原作「MORSE モールス」を映画化したスウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」のアメリカ版リメイク。隣に吸血鬼が引っ越してきたという設定は「フライトナイト」(これもリメイクされた)と同じだが、元がスウェーデン映画なだけにゆったりとした展開だ。吸血鬼の少女役は「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツ。監督は「クローバーフィールド HAKAISHA」のマット・リーヴス。

 ちょうどWOWOWで「ぼくのエリ 200歳の少女」を放映したので見た。これは叙情性・耽美性を備えた傑作。同じストーリーなのにこうも違うかと思う。マット・リーヴスは耽美性を取り入れようとして精いっぱい頑張っているが、とてもかなわない。アップを多用した画面構成と音楽、そしてスウェーデンの冬の光景が美しい。監督はトーマス・アルフレッドソン。Wikipediaによれば、兄ダニエルは「ミレニアム 火と戯れる女」「ミレニアム 眠れる女と狂卓の騎士」の監督なのだそうだ。

 テレビ放映なので仕方がないが、肝心なところにぼかしが入る。「わたしが女の子でなくても好き?」とエリが聞いた理由が分かるシーンなので残念。この、「女の子」のセリフ、ぼくは「モールス」を見た時にバンパイアだから男でも女でもない、という風に解釈したが、実はエリ、元は男の子でバンパイアになる時に去勢されたのだそうだ。「モールス」はクロエ・グレース・モレッツをキャスティングした段階で、この部分を捨て去っていることになる。

 原作も買ってしまったが、amazonのレビューに「半分ゲイポルノのようなもので、読まなくていい」とあった。むむむ。そうなのか。ということは、「ぼくのエリ」の成功はアルフレッドソンの力なのだろう。