2011/09/04(日)「ゴッドファーザー」

 午前10時の映画祭。テレビやビデオでは見ているが、劇場で見たのは初めて。記憶ではシシリー島の場面はもっと黄色っぽく明るかった印象がある。劇中で「愛のテーマ」が初めて流れるこのシーン、暗いニューヨークの色調(音楽も)と鮮烈な対比をなしている、と思っていたが、今回はそうでもなかった。一部、褪色と思われるシーンもある。リストアされているのだけれど、完全ではないのだろう。

 見たのは20数年ぶりぐらいだったが、記憶と違うところはその1点のみ。それほど初見の印象が強かったのだ。高校生の時でしたからね。だいたい、僕は同じ映画を繰り返し見る習慣はない。再見しても「あれ、こんな映画だったのか」と思うことがほとんどないのだ。だから、この映画祭も今までスルーしていた。

 シシリー島で愛する妻を爆殺されたマイケル(アル・パチーノ)の場面から、映画は1年後に飛ぶ。堅気だったマイケルはすっかりマフィアの世界の人間になっている。映画では省略してあるが、その契機が妻を殺されたことにあるのは明確だ。マフィアのドンに成長していくマイケルを描く後半は再び暗い色調に戻るが、だからこそシシリー島での明るさは必要だった。幸福を象徴する明るさなのである。

 裏切りとバイオレンスが渦巻くマフィアの世界は翌年から始まる「仁義なき戦い」シリーズにも影響を与えたのかなと今回、再見して思った。