2003/05/13(火)「ドリームキャッチャー」

 前半は原作をうまくダイジェストしていると思う。4人それぞれのエピソードを冒頭に持ってきていて、そんなことしていて時間配分は大丈夫なのかと思うが、後半は思い切り端折ってある。端折ってはあるけれど、ストーリーの流れは忠実である。最後にダディッツがあんな風になるのを除けば。この場面、映画らしいスペクタクルな場面なのだが、思い切り原作とは離れている。しょうがないかと思う反面、安易だなとも思う。

 ジョーンジー(ダミアン・ルイス)の記憶倉庫を前半に描いておいたのは脚本のうまさで、これが後半に突然出てきて説明することになったら、映画の流れを阻害していただろう。脚本はスティーブン・キング原作では「ミザリー」「アトランティスのこころ」を経験済みのウィリアム・ゴールドマン。細部を切り捨ててグシャっと縮めるまとめ方には異論があるだろうが、文庫で4巻だから仕方ない。

 原作を読んでいれば、映画を見る必要はないと思える程度の仕上がり。ローレンス・カスダン監督のフィルモグラフィーにプラスにはならないだろう。カスダンとしては少年時代の出来事が現在につながる話に興味を持ったのだろうが、そこがあまり生かされず、性急な描写に終始してしまったのが残念。予告編を見て、モーガン・フリーマンの役柄はもしかしたら、善人になっているのではないかと想像したが、これは原作通り狂信的な軍人だった。

 併映は「アニマトリックス」。「マトリックス」のCG版で、10分ぐらいの短編。「マトリックス リローデッド」の予告編の後、例の文字が縦に流れるオープニングがあったので、予告編の別バージョンかと思いました。