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「ドリームプラン」は女子プロテニスのビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹の父親リチャードを描いた作品。実際と異なる部分があるなど一部ネガティブな批評も耳にしていたのであまり期待していませんでしたが、期待を上回る出来でした。作品賞とウィル・スミスの主演男優賞などアカデミー賞6部門にノミネートされているので、それは当然かも。
リチャードが娘2人をテニス選手にしようとするのはテレビで多額の小切手を受け取るテニス選手を見たからですが、一家が暮らすカリフォルニア州コンプトンは犯罪の巣窟で、練習環境は少なく、良いコーチに指導を受けるには多額の金が必要となるなど多くの困難があります。この困難は黒人差別と重なる部分が多く、それを一つ一つ解決し、アメリカンドリームを実現していく過程は感動的です。所々に胸が熱くなるセリフやエピソードを散りばめたザック・ベイリンの脚本は見事なもので、アカデミー脚本賞にノミネートされました。IMDbによると、ベイリンはマイケル・B・ジョーダン監督・主演で撮影中の「クリード3」の脚本も担当しています。
映画はビーナスのプロデビューの大会までを描いていますが、セリーナは姉以上の活躍をするわけですから、こちらももう少し詳しく描いても良かったのではないかと思いました。
WOWOWで4大大会の試合をよく見ていたのは伊達公子が活躍していた頃なので、ウィリアムズ姉妹が出てくる直前ぐらいまでの時期。映画にも役名で登場するシュテフィ・グラフやジェニファー・カプリアティー、アランチャ・サンチェス・ビカリオなどは懐かしく感じました。その伊達公子が日本語字幕監修を務めています。
監督はレイナルド・マーカス・グリーン。IMDb7.6、メタスコア76点、ロッテントマト90%。
「オリエント急行殺人事件」(2017年)に続いてケネス・ブラナーがエルキュール・ポアロを演じるミステリー。ナイル川を巡る遊覧船の中で起きる殺人事件を描くアガサ・クリスティー原作のリメイクになります。ピーター・ユスティノフがエルキュール・ポアロを演じた1978年版(ジョン・ギラーミン監督)を見ていますので、犯人もトリックも承知しています。そのためか、展開がまどろっこしくて仕方ありませんでした。
映画の冒頭で第1次大戦に従軍しているポアロが描かれ、口ひげを生やした理由や恋人とのエピソードがあり、部分的に緊密なドラマの見せ場もありましたが、演出と構成に少し問題があるようです。
同じ原作の映像化であるデヴィッド・スーシェ主演のテレビドラマ「名探偵ポワロ」(表記はポアロではなくポワロ)の第52話「ナイルに死す」(2004年製作)を見たら、まどろっこしさは感じませんでした。映画より20分以上短い1時間40分弱とコンパクトにまとめてあるからでしょう。このドラマで殺される富豪リネットを演じているのは「プラダを着た悪魔」に出演する前のエミリー・ブラント。撮影時21歳ぐらいだと思いますが、その後のブレイクが納得できる美貌と演技でした。
映画の方のポアロのセリフで「田舎の村でのカボチャ作り」に言及する場面がありました。次の映画化は「アクロイド殺し」を想定しているのかもしれません。これもテレビドラマ第46話で映像化されていますが、ミステリー史に残るあの有名なトリックは使われていませんでした(映像で描くのは難しいからでしょう)。このテレビドラマ全13シーズン70話はU-NEXTで配信されています。
アルプスに墜落し、乗員乗客300人以上が死亡した航空機事故を巡るサスペンスの佳作。当初はイスラム過激派のテロかと思われますが、主人公の調査員が調べていくうちに航空機自体に欠陥があった可能性が浮上してきます。主人公の上司は失踪。フライトレコーダーの音声データにも改竄の疑いが出てきます。
フランス映画らしいラストで、アメリカ映画だったらこうはならないでしょう。主役の調査員を演じるのは「母との約束、250通の手紙」などのピエール・ニネ。主人公の妻で航空機の認証機関に務めるノエミを演じるルー・ドゥ・ラージュは、ぱっと見イザベル・アジャーニやクリステン・スチュワートを思わせる美人女優でした。注目しておきます。
「さがす」は「岬の兄妹」(2019年公開、キネマ旬報ベストテン12位)で注目を集めた片山慎三監督の長編第2作。商業映画としては初の監督作になります。
大阪の西成区で暮らす父と中学生の娘。父は「指名手配中の犯人見たんや。捕まえたら300万円もらえる」と言ったまま姿を消す。帰ってこない父親を娘は捜し始め、日雇い現場に父の名前があることが分かる。現場を訪れた娘が見たのは父親と同じ名前を名乗る見知らぬ若者だった。その男は父親が言っていた指名手配の連続殺人犯らしかった。
こうした序盤のストーリーからは予想できない展開をする映画で、第2部で3カ月前、第3部で13カ月前の出来事が語られていきます。当初は「父親を捜していた娘が殺人犯に捕らわれてしまう」という話だったそうですが、「もっと予想外な展開にしたい」との議論から現在の形に変わったとのこと。脚本は片山監督と「まともじゃないのは君も一緒」「ボクたちはみんな大人になれなかった」の高田亮、「デイアンドナイト」「明け方の若者たち」の小寺和久の共同。
父親を演じるのは佐藤二朗、娘を伊東蒼、指名手配犯を清水尋也というキャスティング。中でも伊東蒼がすごすぎます。佐藤二朗が「怪物級」と言い、片山監督が「天才」と絶賛するのが少しも誇張ではないと思える演技を見せつけています。
万引き犯の疑いをかけられて事故死する中学生を演じた「空白」や、ちょい役で出演した朝ドラ「おかえりモネ」でも印象に残る演技でしたが、今回は映画を背負った見事な演技と言えるでしょう。冒頭、商店街をひた走る場面から今年17歳とは思えない度胸と自信とリアルなたたずまいが素晴らしく、将来大女優の逸材と思えました。
話自体はミステリ慣れした作りではありませんが、笑いとサスペンス、猟奇的犯罪が同居するタッチに面白さがあります。とぼけているようで真っ当なラストの処理などその代表でしょう。片山監督が師事したポン・ジュノ監督の影響も一部あるのかもしれません。同時にリアルな貧困を描いた「岬の兄妹」と同様に日本の底辺社会の現状を背景にした作品になっています。
マッツ・ミケルセン主演のデンマーク製アクション映画。列車事故で妻を亡くした主人公の職業軍人マークスが事故の真相を聞き、事故を仕組んだ犯罪組織ライダーズ・オブ・ジャスティスへの復讐を図る、というストーリー。
事故の真相を調べたのは列車に同乗し、主人公の妻に席を譲って命拾いした数学者オットーで、ハッキングに詳しい仲間たちとマークス宅を訪れ、復讐に協力します。アクションが主眼というよりどこか欠陥をかかえた人たちが集まってコミュニティーを形成していく描写が心地良く、ラストも現実的ではありませんが、ほっこりした気持ちになる映画でした。
マークスの娘が自転車を盗まれるのが話の発端になり、さまざまな出来事が現在につながってくるという寓話的な物語になっています。監督はアナス・トーマス・イエンセン。
雑誌形式で綴る3話のオムニバスにエンドノートが付く構成。作りは面白いですし、出演者もベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントン、フランシス・マクドーマンド、クリストフ・ヴァルツ、ティモシー・シャラメ、シアーシャ・ローナン、エリザベス・モスなどめちゃくちゃ豪華です。
クスクス笑える話ではありますが、そんなに評価するほどの作品とは思えませんでした。IMDb7.3、メタスコア74点、ロッテントマト74%と、アメリカの評価を見てもウェス・アンダーソンの映画としては高くない水準にとどまっています。レア・セドゥのファンは必見でしょうけど。
18日からNetflixで配信されています。トビー・フーパー監督の傑作「悪魔のいけにえ」(1974年)で唯一生き残った女性サリー・ハーデスティが登場し、40年以上もレザーフェイスを追っているという2018年版「ハロウィン」を真似たような作り。ハリウッド版「ゴジラ」シリーズのレジェンダリー制作だったので少しだけ期待しましたが、やっぱりと言うべきか、レザーフェイスが無差別殺人を繰り返すだけの普通(以下?)のスプラッターでした。
サリーの役回りも「ハロウィン」のジェイミー・リー・カーティスほどの重みはありません。バリバリバリと音を響かせながらチェーンソーで人を殺す残虐場面が楽しめる人向けで、IMDb5.3、メタスコア36点、ロッテントマト32%と散々な評価なのも納得。
フーパー版でサリーを演じたマリリン・バーンズは2014年に亡くなっていて、今回演じているのは別の女優です。
「ウエスト・サイド・ストーリー」のスティーブン・スピルバーグ監督は10歳か11歳の頃に「ウエスト・サイド物語」のサントラ盤を聴いて好きになったそうです。今回の映画化は旧作のリメイクではなく、舞台を基にしたリ・イマジネーションだと言っています。旧作も舞台を基にしていたわけですから、同じ原作の2度目の映画化なわけで、そういう場合は普通リメイクと言うんですけどね。
ナタリー・ウッドが歌っていなかったとか、プエルトリコ系の役者がリタ・モレノしかいなかったとか、そのためプエルトリコ移民を演じた他の俳優は顔をメイクで茶色っぽく塗っていたとか、アカデミー賞10部門を受賞した旧作も今となってはさまざまな批判があります。スピルバーグがリメイクしたのはそうした旧作の批判を払拭するためではなく、好きなものを自分の手で映画化したかったというシンプルな理由だったようです。
新作を見て最初に感じたのは役者が地味なことでした。マリア(レイチェル・ゼグラー)、トニー(アンセル・エルゴート)、ベルナルド(デビッド・アルバレス)、アニータ(アリアナ・デボーズ)という主要4人のキャストは旧作のナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノに比べてスター性が欠けています。特にアルバレスはシャークスの集団の中にいると、埋もれてしまって目立ちません。
アルバレスはブロードウェーの「リトル・ダンサー」でトニー賞最優秀主演男優賞を史上最年少で受賞した後、一時期、舞台を離れ、別の仕事をしていたそうです。2018年にこの映画のオーディションでベルナルド役を獲得しました。歌と踊りの技術を買われたのでしょうが、「ウエスト・サイド物語」で鮮烈な印象を与えたチャキリスのように、映画1本の効果で長く人気を保つことはできないでしょう。
歌が吹き替えだった旧作のナタリー・ウッドのようなことはせず、レイチェル・ゼグラーは非常階段で歌う「トゥナイト」など自分の歌声を聴かせます。しかし、ドラマ部分の演技に関してはナタリー・ウッドの方が優れていたように感じました。
こうした役者の弱さを除けば、旧作をアップデートした映画としては大成功の部類に入ると思います。マリアとトニーがダンスパーティーでお互いに一目惚れするシーンは旧作では周囲を暗くして2人を目立たせましたが、スピルバーグはそれをやらずに目立たせています。ドラマティックで運命的な出会いと悲劇的な結末が、今回も多くの観客を引きつける要素になっているのでしょう。
尊敬するのはリタ・モレノの存在そのもので、90歳なのに背筋は真っ直ぐで歌も歌っています。製作総指揮も務めたモレノには特別賞をあげたいくらいです。
香川まさひと、月島冬二原作のコミックを「あゝ、荒野」の岸善幸監督が映画化。WOWOWの連続ドラマ6話を受けての劇場版という形になります。といっても、ドラマを見ていなくても分かる話になっていて、少し分かりにくいのは石橋静河の役柄だけでしょう。
ドラマ版で保護司の主人公・阿川佳代(有村架純)が初めて担当したのが石橋静河演じる斉藤みどりで、2人は保護司と前科者の関係を越えて友情を育んでいきました。阿川が今回担当するのは殺人で服役し仮釈放された工藤誠(森田剛)。工藤は半年間の保護観察期間を終えようとしていたところで、所在不明となり、2件の殺人と1件の殺人未遂の容疑がかけられます。同時に語られるのは阿川が保護司を目指すきっかけになった過去の事件で、その事件に関係する幼なじみの刑事・滝本(磯村勇斗)が工藤を追い、阿川と再会します。
工藤の生い立ちは父親(リリー・フランキー)がDV男だったために不幸なものでした。幼い兄弟2人を連れて逃げていた母親は父親から殺害され、工藤は弟と一緒に養護施設に入ります。そこでいじめに遭って耳が不自由になり、殺人を犯してしまったのもいじめが原因でした。残念なのはこうした設定と事件の背景に新鮮味がないことで、何かオリジナルな要素を加えたかったところです。
それでも森田剛の演技のリアルさはキャラクターに深い奥行きを与えていますし、長い髪を縛り眼鏡を掛けた有村架純と、ケバい衣装の石橋静河という対照的な2人の演技も充実しています。工藤の行方が分からなくなったことに落胆した阿川に対して、みどりが「前科者に必要なのは佳代ちゃんのような弱さを持つ人間だよ」と訥々と語る場面には胸を打たれました。
中国で大ヒットしたコメディ。母と娘の関係をタイムスリップを絡めて描いています。途中までベタな展開だなと思って見ていましたが、最後で意外な事実が明らかになり、感動的な話になります。ただ、この展開、タイムトラベルに限らず、過去にいくつもあったようなパターンではありますね。それでも大ヒットしたのは主演女優の人気と好感度の高さと、いつの時代にも通じる普遍的な話になっているからでしょう。
2001年、高校3年生のジア・シャオリン(ジア・リン)は親戚を集めた大学の合格祝いの席で合格通知を偽造していたことが発覚し、母親ホワンイン(リウ・ジア)を悲しませる。「今まで喜ばせてくれたことがない」と言う母と自転車の2人則で帰る途中、車にはねられた。気がつくと、シャオリンにけがはなかったが、母は意識なく横たわっていた。母のそばで眠ってしまったシャオリンが目覚めると、そこは1981年の世界だった。なぜか空から落ちたシャオリンの下には若い頃の母(チャン・シャオフェイ)がいた。シャオリンは母に幸せになってもらおうと、父親とは違う金持ちの男と結婚させようと画策する。
監督・脚本・主演のジア・リンは今年40歳になる太めの喜劇女優。女優というより女芸人と言う方がぴったりな感じですが、実際、スタートは中央戯劇学院の相声(日本の漫才に当たる)科で、その後はテレビと舞台を中心に活躍してきたとのこと。IMDbによると、映画出演は本作を含めて8本。日本では一昨年公開されたチャン・イーモウ製作総指揮の5話のオムニバス「愛しの故郷(ふるさと)」にも出ていたようですが、未見です。
「こんにちは、私のお母さん」の物語はジア・リンが中央戯劇学院に合格後1カ月で亡くなった母親をモデルにしているそうです。
※ここから追記。
この映画の終盤と同じパターンの話をふと思い出した。「いま、会いにゆきます」だ。別の視点での語り直しがあり、その語りの人物はすべてを知っていたというパターン。愛情あふれるシーンということでも共通している。「こんにちは、私のお母さん」でのタイムスリップには2種類あって、主人公の方は良いのだが、もう一人の方は都合の良いタムスリップの仕方だなと思う。
amazonオリジナル映画。10日から配信が始まりました。原恵一監督のアニメ「カラフル」(2010年)と同じ森絵都の原作を「PARKS パークス」などの瀬田なつき監督が映画化。なにわ男子の長尾謙杜、山田杏奈主演で青春映画の佳作に仕上がっています。
山田杏奈を目当てに見たんですが、amazonのレビューを見ると、「長尾くんが出てるから見たら、とても良かった」という投稿が多いです。
瀬田監督は前作「ジオラマボーイ パノラマガール」でも山田杏奈を主演にしており、お気に入りの女優なのでしょう。
「ゴーストバスターズ アフターライフ」は1989年の「ゴーストバスターズ2」に続く正当なシリーズ3作目。わざわざこんな言い方をしているのは2016年に女性版の「ゴーストバスターズ」(ポール・フェイグ監督)があったからで、あちらは番外編ということになるんでしょうかね。
旧作2本はダン・エイクロイドとハロルド・ライミスの脚本をアイヴァン・ライトマンが監督した緩いコメディでした。まだネットがなかった頃だったのでレイ・パーカー・ジュニアが歌う主題歌の大ヒットをテレビの洋楽番組(「MTV」だったかな?)で見て期待を膨らませ、映画館で見たら、「VFXに見どころはあるものの、普通の出来じゃないか」と少しがっかりしました。良くも悪くもビル・マーレイの個性に頼ったスラップスティック調の映画で、ダメな男たちがそれなりにゴーストをやっつけるという感じのクスクス笑える作品でした。
今回は少年少女が主人公なので中高生向けSF映画のイメージになっていて、正統的な続編といっても味わいは異なります。
都会での生活が苦しくなり、フィービー(マッケナ・グレイス)と母(キャリー・クーン)と兄(フィン・ウルフハード)は、死んだ祖父が遺した田舎の家に引っ越す。周囲は荒れ果てた小麦畑。屋敷のリビングの床には奇妙な仕掛けが施されていた。床下に謎の装置があり、ゴーストを捕獲するためのプロトンパックも見つかった。祖父は、かつてニューヨークを救ったゴーストバスターズの一員だった。フィービーは床下の装置を誤って開封してしまい、ゴーストたちが飛び出してくる。
監督はアイヴァン・ライトマンの息子ジェイソン・ライトマン。「マイレージ、マイライフ」「とらわれて夏」「タリーと私の秘密の時間」などの監督ですから、父親と違ってコメディを志向しているわけではなく、資質もコメディ向きではないようです。
残念ながらと言うべきか、この映画で最も面白いのはビル・マーレイなど旧作の俳優たちが出てくる場面で、旧作を見ている人たちはうれしくなるでしょう。エンドクレジットにシガニー・ウィーバーの名前が出てきて、「あれ、どこに出てたっけ」と思ったら、ESPカードのテストをビル・マーレイに対してやってる場面が始まって笑いました。
主演のマッケナ・グレイスは2017年の「gifted ギフテッド」で数学の天才少女を演じて大人たちの涙を絞った後、「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」「レディ・プレイヤー1」「キャプテン・マーベル」「マリグナント 狂暴な悪夢」と出演作が続いています。その兄役フィン・ウルフハードはNetflix「ストレンジャー・シングス 未知の世界」でおなじみ。というか、随分大人になったなという印象ですね。
ドニー・イェン主演の警察アクション。不祥事で逮捕され、警察官をやめて今は犯罪に手を染めているかつての部下(ニコラス・ツェー)たちとの激しい戦いを描きます。
今に始まったことではありませんが、香港映画はアクションに感心しながらも話が粗くて今一つ高く評価する気になれません。この映画でも2階から隣の建物の壁にぶつかって下に落ちたり、カースタントで人をはねそうになったり、すぐそばの爆発で人が吹き飛ばされたり。一部CGなどを使っているのかもしれませんが、危険なシーンが満載です。
アクションを生かすには物語にも力を入れた方が良いのは言うまでもありません。そのあたり香港映画では軽視されているのが残念。
監督はベニー・チャン。この映画が遺作になりました。エンドクレジットに撮影風景が流され、白髪で笑顔を絶やさないベニー・チャンの姿が印象的です。スタッフや出演者に愛された監督だったのでしょう。
「攻殻機動隊 S.A.C」の神山健治監督がオリジナル脚本で描く長編アニメ。WOWOW開局30周年記念作品と銘打たれ、1月30日の放送と同時にWOWOWオンデマンドで配信も始まりました。3月18日から劇場公開するそうです。
東京で新聞奨学生をしながら大学に通う浅野スズシロウは高校3年の時に起きたある事件をきっかけに周囲の時間を止める能力を持った。ある日、スズシロウは同じく時間を止められる少女に出会う。少女は兄によって犯罪に利用されていた、というストーリー。
SF的に少しもアイデアの発展がないばかりか、ドラマとしても面白みがなく、開局30周年記念にふさわしい作品とは思えません。監督のうまくない脚本を直してくれる脚本家をスタッフに入れた方が良かったと思います。